クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「どうした?難しい顔したり、ニヤついたり、突然頭振り出したりして変だぞ」
「べつに…そっちこそ、チラチラ見てきてなんですか?」
また、視線を合わせずに喉元辺りに視線をずらして、そっぽを向き、最後のバケットでお皿に残っているシチューをすくい口の中に頬張ると、モゴモゴとしながらごちそうさまと言い、お皿を片付けに行った。
私は、任務完了とばかり、残っていた缶の中身を飲みきりキッチンへ行くと、お皿と一緒に私の鍋も彼が洗っていた。
「ありがとうございます」
「ごちそうになったしな…」
「大した物じゃないですけどね」
「美味かったよ」
ぶっきら棒に言われているが、彼なりのお礼のつもりらしい。
「いーえ、どういたしまして…こちらこそ、ごちそうさまでした」
空いた缶を見せ、片付ける。
「まだ、あるぞ、飲んでけよ」
「でも…」
食べ終わるまでという約束だったと、躊躇いをみせたら、冷蔵庫から塩辛の瓶を出してきた。
「サーモンの塩辛だぞ。テレビを見てて旨そうだったから取り寄せてみたんだが…」
「いただきます」
生唾を呑んで即答する私を見た彼は、ニヤリと口元に笑みを浮かべ自分用のビール缶と、私用に梅酒を出して見せた。