クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「笑わないでください。自分のドシさに凹んでるんですから」
「まぁ、そこはお前らしいって…パンツの件…」
思い出したくもない汚点に、彼の口を手のひらで塞いでいた。
「言わないでください」
彼は、口を押さえていた手首を掴んで簡単に引き離し私をそのまま押し倒した。
突然のことに驚いたのか、それともアルコールのせいなのか、私の心臓が速く強く音をたてていく。そんななか、近づいてくる彼の顔が昼休みでのキスを思い出させ、ゴクと喉を鳴らしてしまっていた。
「…ほんとあれっぽっちで顔を真っ赤にして、首まで赤い」
掛け違えているブラウスの最初のボタンをはずした彼の指先が肌を撫でていき、ゾワっと震えて、鼻に抜ける微かな声が出てしまった。
「…んっ」
「お前を先に見つけたのは俺だ。もし、俺以外の奴に隙を見せたら、物置に呼び出すからな」
口元でニヤっと笑った彼の目は肉食獣のように鋭く、本能が、危険だから頷いておけと警告する。
「わかったなら、いい」
そう言った彼が退いた瞬間、身の危険を感じていた私は玄関先まで両手で前を隠して駆けて行く。
「忘れ物だぞ」
声に振り向けば、ゆっくりとキッチンから私の鍋を持って歩いてくる彼