クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「そうだよね…」
しんみりとする私に、絵梨花が慌てだす。
「ご、ごめん。思い出させたよね…絶対、莉子を一途に思ってくれる人がいるから、あんな男早く忘れて新しい男見つけるべきだよ」
絵梨花と昔の彼氏との接点はないが、入社した当時の私は、彼の女癖の悪さに精神的にボロボロになっていたのを知っているからだった。
学生時代の一つ年上の彼は真面目で不器用で他の女子から面白みのない男だと言われていたが、彼なりに私に一生懸命に告白してくれた。そんな彼を好きになり2人の未来は順風満々だと思っていたのは私だけだった。彼が社会人になり、何かが変わった。色々な遊びを覚え、お洒落に目覚め、急にモテだして、一回の浮気が二回、三回となり、私が気づいて別れを切り出しても、2度としないと誓う彼を何度も許し、裏切られ喧嘩を繰り返して、好きで別れられないのか情で別れられないのかわからなくなり、最終的に彼の転勤で別れたのだが、あの辛い日々を思い出した私は、まだ恋は無理だと思った。
「じゃあ、行くね」
絵梨花には悪いが、思い出したくない事を思い出し、気分は最悪で、早くこの場を離れたかった私は、貨物用エレベーターが一階にいる事を視線で指した。