クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
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朝陽は、会社では一定の距離を置いてくれるけど、マンションに帰れば、私を迎えに来てから彼の部屋に連れて行くようになった。
「なぁ、梶岡の奴、りこにちょっかいかけすぎじゃないか?」
「やっぱり、あさひもそう思うんだ」
「やっぱりって、わかってるなら相手にするなよ」
晩ご飯の後片付けを2人でしていて、隣でお皿を拭いていた人が、背後から肩を抱きしめてきた。
突然のことに水を止める暇もなく泡だらけの私の手が、宙で持て余している。
「そうしたいんだけど、会社にいる以上は無理があるよ」
最近、梶岡さんは、私と朝陽の関係に薄々気がついてるようで、朝陽がいる前で何かとかまってくる。でも、そこは朝陽も素知らぬふりを決め込んで、今まで以上に素っ気ないくせに、目が据わっている様子が梶岡さん的に楽しいみたいで、朝陽がいないところで『クールぶってるだけで、めちゃくちゃ嫉妬深いよね』と笑い、『あいつに愛想尽かしたら、俺んとこおいで』と冗談を言う。
最初は苦手で、本気なのか冗談なのか区別がつかない掴み所のない人だったけど、私が女子社員に、主に梶岡ファンに嫌味を言われてる現場を偶然見つけ、一言で黙らせてくれたのだ。それ以降、表立って何かを言ってくる人はいなくなった。