残り香
残り香
煙草のにおいで目が覚めた。
……なんで煙草?
私は煙草を吸わない。
それに前日、煙草を吸う来客があったわけでもない。
まだ目覚めきっていないあたまでにおいの元をたどっていくと、足下に黒ずくめの男が座っている。
私が起きたのに気づいたのか、男はちらりとだけ私を見て吸っていた煙草の煙をふーっと吐いた。
……不審者!?
一気に意識が覚醒する。
視線は男に向けたまま手探りで枕元に置いてある携帯を取ろうとしたら、あっという間に奪われた。
「通報してもいいけどさー。
あたまがおかしくなったとか思われるだけだから、やめといた方がいいと思うぞ?」
フードを目深にかぶった男の、そこしか見えない口元はにやにやと莫迦にするように笑っている。
男は最後の一口を吸うと持っていた携帯灰皿で煙草を消し、私に携帯を投げ返した。
慌ててキャッチし、画面ロックを解除しかけて手が止まる。
……なんで煙草?
私は煙草を吸わない。
それに前日、煙草を吸う来客があったわけでもない。
まだ目覚めきっていないあたまでにおいの元をたどっていくと、足下に黒ずくめの男が座っている。
私が起きたのに気づいたのか、男はちらりとだけ私を見て吸っていた煙草の煙をふーっと吐いた。
……不審者!?
一気に意識が覚醒する。
視線は男に向けたまま手探りで枕元に置いてある携帯を取ろうとしたら、あっという間に奪われた。
「通報してもいいけどさー。
あたまがおかしくなったとか思われるだけだから、やめといた方がいいと思うぞ?」
フードを目深にかぶった男の、そこしか見えない口元はにやにやと莫迦にするように笑っている。
男は最後の一口を吸うと持っていた携帯灰皿で煙草を消し、私に携帯を投げ返した。
慌ててキャッチし、画面ロックを解除しかけて手が止まる。
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