残り香
この男がなんの目的で家に上がり込んでいようとかまわないのだ。
レイプされようと殺されようと問題ない。
それほどまでにこの頃の私は自暴自棄になっていた。
「しないの、通報?」
携帯の画面の時計は午前七時を表示している。
そろそろ出勤の準備をしなければいけない時間だが、どうでもよくなった。
私が布団の上に携帯を投げ捨て、男は怪訝そうな声を出した。
「……どうでもいい。
あなたの好きにしたらいいから」
ベッドの上で膝を抱えて丸くなる。
少しだけ間があいてベッドがぎしっと軋んだ。
視線だけそちらに向けると、男がベッドに座っている。
「一応、自己紹介しておくわ」
俯き、膝の上に両肘をついて指を組んだ男は、合コンの自己紹介くらいのノリで話しだした。
「俺はいわゆる死神って奴だ」
確かに、フードのついた長い黒マントをまとう男はそれっぽい。
レイプされようと殺されようと問題ない。
それほどまでにこの頃の私は自暴自棄になっていた。
「しないの、通報?」
携帯の画面の時計は午前七時を表示している。
そろそろ出勤の準備をしなければいけない時間だが、どうでもよくなった。
私が布団の上に携帯を投げ捨て、男は怪訝そうな声を出した。
「……どうでもいい。
あなたの好きにしたらいいから」
ベッドの上で膝を抱えて丸くなる。
少しだけ間があいてベッドがぎしっと軋んだ。
視線だけそちらに向けると、男がベッドに座っている。
「一応、自己紹介しておくわ」
俯き、膝の上に両肘をついて指を組んだ男は、合コンの自己紹介くらいのノリで話しだした。
「俺はいわゆる死神って奴だ」
確かに、フードのついた長い黒マントをまとう男はそれっぽい。