気づいたらコイツ拾ってました!?
あいつと過ごしてからもう1ヶ月が経った。

彼氏でもない奴となんで一緒に
住んでるのか、本当に謎。

まあ、許してしまう私も私だけどさ。

せめて気遣いってもんがあっても
いいんじゃないか???

たまには、【俺がご飯作るよ!】とか、
【部屋掃除しておいたよ!】とか
あってもいい気がするんだけど…。

居候だよ???

養ってるんだよ?私!

え、待って、そう考えたら…
あいつ、ヒモじゃん!?

うわ…気分最悪…。

そう思いながら黒板に文字を書いてる
私って、教師としてどうなの(汗)

「先生ー!先生って彼氏居るのー?」

1ヶ月に1回、生徒からのお決まりの
質問。

正直、ウザイ。

私に彼氏が居ようが、居まいが
あんたらには関係ないだろ!

と、腹の中で思いつつも

「内緒です」

と、満面の笑みで答える。

これも、恒例になっている。

「えー!じゃあ俺先生狙おっかなー?」

「まじ!?」

「まじまじ!可愛いし!
背ちっちゃくてちょこまかしてるし!
正直、俺のタイプ〜」

「うわー!お前見る目ねーなー!」

そんな会話がクラス中に響きわたると共に笑い声も響き渡る。

それにしても、【見る目ない】って
どういう事?。

こう見えても私、立派な女性ですが!?

「ごめんなさい、私、子供に興味
ないの」

はらわた煮えくり返らせながらも、
また満面の笑みで生徒達に言った。

「はは笑
颯太振られてんじゃん笑
だっさ笑」

そしてまたクラス中に笑い声が響く。

まじでなんなの、今の高校生。

朝から機嫌が悪かった私は余計に
イライラしていた。

授業を終えて職員室に戻ると
校長に呼び出された。

テストの出題問題に関する事だった。

「ああ、渡辺さん、ここに座って?」

「はい…。」

幸い、ここの学校の校長は女性だから
話しやすくはあるけど…同じ同性同士
冷たい空気が漂う時がある。

それがすっごく嫌!

まあ、とても優しい人なんだけどね。

「今回のこの問題の事なんだけど、
もうちょっと簡単に出来ない?」

「え、簡単にですか?」

まさか、【簡単に】なんて言葉が
出てくるなんて思ってなかった私は、
つい素っ頓狂な声で答えてしまった。

「あは笑
そりゃあ、簡単になんて言われたら
そうなってしまうのも無理はないわ」

校長は笑って答えてくれた。

「すみません(汗)」

「いいのいいの!
だって、普通は簡単になんて言わないもの。でもね?今まで、渡辺さんが出題した問題は全て正解率共に、回答率が圧倒的に悪いのよ。」

「存じております。」

「だから、今回は少し生徒達に
楽をさせてあげようと思ってね。
楽って表現はあまりよくないけど。」

校長はにこりと笑ってこちらを向いている。

「正解率共に回答率が悪いのは
十分承知しておりますが、3年生は大学受験を控えている子達も沢山います。
なので、難しい問題も一問は必要だと、私は思います。」

私は、精一杯の声を振り絞って言った。

「まあ、確かにそうねぇ。
もう一度考え直してみるわ。」

校長は何とか納得してくれて
優しく答えてくれた。

「では、宜しく御願い致します。」

私は頭を下げ、即座に校長室から
退室した。

はぁぁぁあ…本当、校長と二人きりって緊張する。

別に、校長が嫌な訳では無い。

て校長室から出た後のみんなの目線が
嫌なのだ。

だって、【何かしたのか】【何か事件を起こしたのか】【何かやらかしたのか】とか、色々思われてそうだもん…。

実際、ミスは少ないとは言えないけど…

「りっちゃん!!!」

振り向くと、麗美が居た。

「麗美!どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ!
校長、なんだって??」

興味津々で聞いてくるけど、
またどこか不安そうな顔でもある。

「あぁ(汗)
今回のテストの問題、もう少し簡単に出来ないかって言われただけだよ笑」

「え、それどういう事?」

うん、そりゃそうなるのもわからなくもない。

私は全て説明した。

「成程ね?理解した。
でもさ、それ、何か裏がありそうじゃない?」

「裏?」

どういう事?

「だって、校長が普通そんな事言う?
絶対保護者からクレームがあったんだよ。」

そんな事考えもしてなかった。

「…確かに…。」

今、教師が1番恐れているのは
生徒の保護者。

何かあればすぐ学校に電話。

自分の子供が悪い事をしても
それを叱りもせずに、学校のせい。

そして教師が家まで行き、頭を下げる。

本当、この世の中どうかしてる。

いや、保護者と学校がどうかしてる。

そんな事わかってて教師になった筈なのに、いざ自分がその立場に立ってみるとなんで教師になんかなったんだろうって思う。

本当は今すぐにでも辞めたい。

けど、辞められないのが現状。

「それで、りっちゃんは何て
答えたの?」

麗美が聞いてくる。

「んー?。3年は大学受験もあるし
そのままでいいじゃん?って。
あ、こんな言い方じゃないよ!?
流石に!」

「ははは!笑
それくらい分かるよ笑」

麗美は笑ってそう答えた。

すると

「ん?りっちゃん、りっちゃんって、
彼氏出来たの?」

「は!?!?!?」

急すぎてびっくりするわ!

彼氏ではないけど、一緒に住んでる奴
ならいるけども!!!!

でも、まだそんな事麗美には言えない…

「だって、りっちゃん黒髪なのに
茶色い毛ついてるよ?」

「えっ!?!?!嘘!!!」

「本当笑」

麗美はその毛を持ちながら
私の反応に笑っている。

「ほら、私、電車通だからさ、
そりゃ髪の毛くらい付くよ〜(汗)」

引きつった笑顔でそう答えた。

「あっ!そっか!」

麗美は両手をパンと叩きながら
だからか!言いながら去っていった。

麗美は、いつも突然来て突然去ってく。

嵐か!ってツッコミたくなるもん。

まあ、そんなちょっと天然なところが
可愛いんだけどね(汗)

そうこうしている間に、もう定時の時間だ。

帰らなきゃ。

私は急いで荷物を纏めて学校を後にした。

あいつ、今日の夜ご飯何がいいんだろ。

聞きたいけど、聞けない。

だって、あいつは携帯を持っていないから。

本当、いつの時代の人だよってツッコミたくなったけど、我慢した。

だって、ツッコんだら
【おっ!ツッこめるんだ!】とか言って
からかってきそうだもん。

適当にスーパーで食材を買って
帰宅した。

「ただいま。」

「お帰りー
今日の夕飯は!?」

「はぁ…早速それ?
他に言葉知らないわけ?」

毎日の会話は基本これだけ。

あとは、必要最低限の事しか話さない。

悪魔で他人だからね。

今日はカルボナーラを作る事にした。

前に、あいつが好きだと言ってたことを
思い出したからだった。

「出来たよ。」

部屋まで呼びに行く。

「ほーい。」

だるそうに返事をして食卓につく。

「「いただきます。」」

「うまっ!!!!!」

「それはどうも。」

めちゃめちゃ嬉しいけど
喜びを我慢して平然を装う。

意外と大変だよ。やってみて笑。
なんてね笑。

私は先に食べ終わりお風呂に入った。

湯船で、今日あった事をおさらいするのが私の日課。

そうすれば、今日ミスした事や、ダメだったところを反省し、同じミスをしないようにと心がけることが出来る。

それと、嬉しかった事も。

唯一思い返さないのは悲しかった事。

理由は、また悲しくなるから、それだけ。

私は今日あった事全てを思い返して
湯船を出ようとあ扉開けた。

するとそこに、上半身裸のハヤトの
姿があった。

私は即座にお風呂の扉を閉め
湯船に戻った。

待って待って待って、どう言う事か
理解。出来ないんですけど……。

おさらいすると、私がとひお風呂から出ようと、扉を開けたら、上裸のあいつが
目の前にいた。

なんでーーーーー!!!!!!

私が入ってる事知ってるよね!?

それなのになんで!?

何が目的!?!?
体??!?嘘でしょ!!!!???

「おーい」

あいつの声だ。

「なな、な、何よ!」

私は扉を睨みつけた。

「出るなら出てー?
俺早く風呂はいって寝たいんだけどー」

耳を疑う言葉が次々と繰り出される。

よく人の裸見といてそんな平然と
居られるよね!?

「わかったから出てって!」

あいつが出てったのを確認して
お風呂を後にした。


お風呂から出て私は速攻
自分の部屋に戻り布団の中に潜った。

あいつマジ何なの!?
何様のつもり!?

何が【早く風呂はいって寝たいんだけどー】だよ!!!

元はと言えばあいつがあそこに居なければすぐ済むむ話だったのにっ!!!!!

枕をポカポカ殴った。

もう疲れた。寝る。

私は全て忘れたくて夢物語の世界へ
入っていった。




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