Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
「これがピザね。少し食べたいわ。少しでいいの。」

「もちろん。

初めてなんだから、食べたいだけ食べたらいい。

切り方が独特でね、こうやって切り分けるんだよ。」

フォルティスは手先が器用なのね。

「へぇ、すごい画期的ね。

ソースのついていないところを持てば、手を汚さなくて済むし。」

「そうだよ。ほら、食べてごらん。」

そう言って、私に先に取り分けてくれる。

「初ピザね!お先にいただきます。」

早く食べたくて、熱々の湯気が出てるのに、ほおばる。


「あ、そんなにひとくちで、、、」

「あつっ、はふっ、はふっ、あつっ、

あっついわ!チーズってこんなに熱いの!?」

フォルティスの静止を待たずに食べてしまった。

「ごめんな、止めるのが間に合わなかった。

すごく熱いんだ。焼きたてだから。」

確かに上に溶けたチーズが容赦なく、口の上の方をやけどさせにかかったわ。

「知らなかったわ。いい経験になった。

でも、こんなに美味しいチーズ食べたことないわ!

トロトロなのね。」

心底美味しいと感じて、はまってしまう。

すごく中毒性のある組み合わせだわ。

「そこがピザの醍醐味だからね。

もう1切れ食べたらどうだ?今度は味わってね。」

さっきと同じ大きさのピザをもう1枚くれる。

「いいの?」

「当たり前だよ。」

フォルティスも少し冷めたので、大きな一口でかじりついていた。

「ありがとう!

うーーん!やっぱり、美味しいわ!」

「それは良かった。」





「ふぅ、いっぱい食べたな。」

デザートまで、豪華で海らしさのあるメニューが続いて、お腹がはち切れそう。

「えぇ、どれも美味しかったわね。」

「どれが一番美味しかった?」

2人でぼうっと海を眺めながらのんびり話す。

お腹がいっぱいなのもあって幸せな心地。

「うーん、やっぱりピザかしら。

初めてなのもあるけど、チーズとすごくあっていたもの。」

「俺はパエリアかな。レモンが香るのは初めて食べたな。」

確かに、フォルティスはすごく気に入っていた。

岩塩を振って食べたり、普通に食べたり、いろいろな味で楽しんでいた。

「すごく爽やかな味だったわ。

あんまりレモンの苦味を感じなかったから、食べられたわ。

それに、また今度、秋くらいに来てサーモンをいっぱい食べたいわ。」

「店主が一番美味しいって言ってた、サーモンのマリネを食べにな。」

食の好みが合うと、こんなに会話が弾むのね。

言ったことのほとんどが共できるのは、話していてすごく楽しい。

「絶対美味しいわよね。」

「絶対な。期待以上かもしれないな。

この後はどうしたい?

近くに雑貨屋もあるし、灯台もある。」

2人で店を出て、ぶらぶらと歩くのもいい。

「両方行く時間はないかしら?

こんなに遠出することはめったにないし、みんなにおみやげを買って帰りたいわ。」

どっちもしたいなんて贅沢だけど。

少し無理を言っているのは分かる。

「あると思うな。

日没をちょうど灯台で見られるくらいだろう。」

少し考えて答えてくれる。

絶対だって言い切ってくれるのもいいけど、真剣に答えてくれるところは人として好き。

「本当?嬉しい!

じゃあ、急いでおみやげを選ぶわ!」

「そんなに急がなくて大丈夫だよ。

灯台もすぐ近くにあるから。」

急ぎ足になった私をそっと止めてくれる。

「そうなの?良かった。

でも、安心して!私選ぶのは早いのよ。」

「意外だな。」

「これとかどうだ?」

海を切り取ったようなデザインの置物を見せてくれる。

「わぁ、、、すごくきれい。

この石は何?宝石って感じではないわ。」

見たことがない色の石がたくさん付いている。

「これはシーグラスっていうんだよ。

このべっこう色もこの緑の小さいのも、元はビードロの破片なんだ。

海の向こうから来るとき、に角が取れてこの浜辺で拾われる。

だから大きさが様々だろ。」

「そんなものもあるのね。

うーん、じゃあカイにはこの万華鏡をあげようかしら。

マリンにはこっちの色ちがいが合いそうね。

あ、それよりもこの岩塩のパックの方が喜びそう、、、

ん?」

フォルティスがこっちをじっと見ているわ。

さっきの置物をずっと持ったまま。

「何かしら?私、もしかしてうるさい?」

少し心配になって小声で聞いてみる。

「いや、嬉しくてね。

リリが、こんなに表情がころころ変わるのを、隣で見られるなんて。

生きていて良かったよ。」

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