Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
フォルティスの自分との戦い
すごく傷ついた顔をしていたな、、、
これを見られたら、誤解するのも無理はないと思う。
こんな、あり得ないことになるまでにはいろいろな理由があった、、、
俺の今回の仕事はカリオス帝国の王子の護衛だった。
国境を越えて迎えに行き、城内まで案内する。
仕事はもちろん完璧だった。
だが、報告を国王にしたあと、ハイネ王女に止められ、無理やりお茶に誘われた。
俺は早く帰って、汗を落としたら夜会の前に一度リリに会いに行こうと思っていたから、何としてでも断ろうとした。
俺の断り方が悪かったのか、、、?
「今日こそは寄っていくわよね?
何度も誘っているのに、毎回断るなんて。」
「いえ。毎回予定が入っているもので。
申し訳ありません。」
「そう、、、、
私の考え過ぎなのかしら。
他の女性に割く時間を、少し分けてもらうぐらいできないのかしら。
これはまだ、お願いなのよ。
好きな人を誘うのに、命令するのはおかしいでしょう?」
「本当に申し訳ありませんが、王女より先に向こうと約束をしていまして。
それに、分けられる彼女との時間などありませんので。」
自分なりに、きっぱりと断ることができたと思ったのに。
彼女の性格を甘く見ていたようだった。
「あぁ、そう。
私の一世一代のお誘いは断られたのね。
それなら、しょうがないわ。
もし、口が勝手に動いて、お父様にフォルティス様が女性に夢中で、仕事が疎かになっているとうっかり言ってしまっても悪く思わないでね。」
あんな脅しのようなようなことを平気で言うとは思わなかった。
しかも、その鬱憤を国王に伝えるなんて、公私混同も甚だしい。
「ご自分の立場をもう一度良くお考えになった方がよろしいのでは?
そんなことを軽く口にしては、いけない立場だと思いますが。」
「よくも私にそんなことを、、、
口が過ぎるのはあなたの方よ。
私が本気で動いたら、あなたは彼女の信頼を失うだけでなく、仕事も失うことになるでしょうね。
痛い目に会えばいいのよ。
私は、かかされた恥は忘れないわよ。」
最後、脅しのように告げてさっさと歩き去っていった彼女に何か言おうとも思えず、呆然としてしまった。
今回俺は、何も間違っていないと思う。
リリに後ろめたいこともしていない。
少し引っかかることも言っていたが、王は公平に判断してくれる方だから、大丈夫だろう。
遅くなったが、急いで帰れば、全然間に合う。
そう思って俺は帰宅した、、、
ところが、俺の予想を遥かに上回ることをしてきたのだ。
支度を大急ぎでして、リリの屋敷へ出発しようとした我が家に、王宮からの急ぎの使者が到着した。
嫌な予感がしながらも受け取り、開封すると、、、
そこには王妃からの手紙が入っていた。
王からの命令ではなかったから安心したものの、印字が公式のもので、断ることのできないものだと分かった。
"我が娘のハイネが、急にパーティーに参加したくないと言い出した。
隣国の王子との兼ね合いもあり、エスコートをお願いしたい。
気心知れた貴方なら安心だと、娘は言っている。
参加しないことは許されぬことゆえ、娘のエスコートをお願いできないか。"
これは、、、
あり得ない。
娘を溺愛していたのは、王妃の方だったのか。
王勅ではないのは、王が認めなかったからだろう。
そうなれば、姫の味方は王妃だということが分かる。
それにしても、、、
「王妃様からの言付けで、返事はいらない、だそうです。」
つまりそれは、断るという選択ができないことを、意味している。
「、、、了解した。どこに行けば?」
「お好きな時間に迎えにいらしてください。
王女はもう、準備ができているころだと思われますので。」
一介の騎士でしかない自分には、断ることなどできるわけがない。
この国では、王妃の言葉も王の言葉と同じ扱いをされる。
拒否したら、侮辱罪や不敬罪で職を失うことはもちろん、捕まることもあり得る。
リリにこれを上手く伝えようと思うが、どう言っても言い訳にしかならない気がする。
家老に紙とインクを頼んでから、使者を丁重に送り返した。
むしゃくしゃしてただ一言
「今日は、行けそうになくなった。すまない。」
とだけ書き、早駆けさせる。
この手紙が少し早めに出発してしまったリリの手には渡らなかったことを知るのは、もう少し先だ。
リリはいつも少し遅く会場入りして、人の入りの激しい時間を避けるから、上手くいけば、見つかる前にハイネ王女と離れてしまえる。
そんな甘い考えを分かっていたかのように、リリはいつもよりも少し早く会場入りした。
いないことを願いながら、無意識にリリを探し、手に絡みついてくるハイネ王女を鬱陶しく思った。
願いは残酷にも裏切られ、自分より先にリリにこちらが見つかった。
ざわざわと人の波が動くなか、驚いた顔でこちらを見たまま固まるリリと目が合うと、周りの音が抜け落ちたように聞こえなくなる。
これを見られたら、誤解するのも無理はないと思う。
こんな、あり得ないことになるまでにはいろいろな理由があった、、、
俺の今回の仕事はカリオス帝国の王子の護衛だった。
国境を越えて迎えに行き、城内まで案内する。
仕事はもちろん完璧だった。
だが、報告を国王にしたあと、ハイネ王女に止められ、無理やりお茶に誘われた。
俺は早く帰って、汗を落としたら夜会の前に一度リリに会いに行こうと思っていたから、何としてでも断ろうとした。
俺の断り方が悪かったのか、、、?
「今日こそは寄っていくわよね?
何度も誘っているのに、毎回断るなんて。」
「いえ。毎回予定が入っているもので。
申し訳ありません。」
「そう、、、、
私の考え過ぎなのかしら。
他の女性に割く時間を、少し分けてもらうぐらいできないのかしら。
これはまだ、お願いなのよ。
好きな人を誘うのに、命令するのはおかしいでしょう?」
「本当に申し訳ありませんが、王女より先に向こうと約束をしていまして。
それに、分けられる彼女との時間などありませんので。」
自分なりに、きっぱりと断ることができたと思ったのに。
彼女の性格を甘く見ていたようだった。
「あぁ、そう。
私の一世一代のお誘いは断られたのね。
それなら、しょうがないわ。
もし、口が勝手に動いて、お父様にフォルティス様が女性に夢中で、仕事が疎かになっているとうっかり言ってしまっても悪く思わないでね。」
あんな脅しのようなようなことを平気で言うとは思わなかった。
しかも、その鬱憤を国王に伝えるなんて、公私混同も甚だしい。
「ご自分の立場をもう一度良くお考えになった方がよろしいのでは?
そんなことを軽く口にしては、いけない立場だと思いますが。」
「よくも私にそんなことを、、、
口が過ぎるのはあなたの方よ。
私が本気で動いたら、あなたは彼女の信頼を失うだけでなく、仕事も失うことになるでしょうね。
痛い目に会えばいいのよ。
私は、かかされた恥は忘れないわよ。」
最後、脅しのように告げてさっさと歩き去っていった彼女に何か言おうとも思えず、呆然としてしまった。
今回俺は、何も間違っていないと思う。
リリに後ろめたいこともしていない。
少し引っかかることも言っていたが、王は公平に判断してくれる方だから、大丈夫だろう。
遅くなったが、急いで帰れば、全然間に合う。
そう思って俺は帰宅した、、、
ところが、俺の予想を遥かに上回ることをしてきたのだ。
支度を大急ぎでして、リリの屋敷へ出発しようとした我が家に、王宮からの急ぎの使者が到着した。
嫌な予感がしながらも受け取り、開封すると、、、
そこには王妃からの手紙が入っていた。
王からの命令ではなかったから安心したものの、印字が公式のもので、断ることのできないものだと分かった。
"我が娘のハイネが、急にパーティーに参加したくないと言い出した。
隣国の王子との兼ね合いもあり、エスコートをお願いしたい。
気心知れた貴方なら安心だと、娘は言っている。
参加しないことは許されぬことゆえ、娘のエスコートをお願いできないか。"
これは、、、
あり得ない。
娘を溺愛していたのは、王妃の方だったのか。
王勅ではないのは、王が認めなかったからだろう。
そうなれば、姫の味方は王妃だということが分かる。
それにしても、、、
「王妃様からの言付けで、返事はいらない、だそうです。」
つまりそれは、断るという選択ができないことを、意味している。
「、、、了解した。どこに行けば?」
「お好きな時間に迎えにいらしてください。
王女はもう、準備ができているころだと思われますので。」
一介の騎士でしかない自分には、断ることなどできるわけがない。
この国では、王妃の言葉も王の言葉と同じ扱いをされる。
拒否したら、侮辱罪や不敬罪で職を失うことはもちろん、捕まることもあり得る。
リリにこれを上手く伝えようと思うが、どう言っても言い訳にしかならない気がする。
家老に紙とインクを頼んでから、使者を丁重に送り返した。
むしゃくしゃしてただ一言
「今日は、行けそうになくなった。すまない。」
とだけ書き、早駆けさせる。
この手紙が少し早めに出発してしまったリリの手には渡らなかったことを知るのは、もう少し先だ。
リリはいつも少し遅く会場入りして、人の入りの激しい時間を避けるから、上手くいけば、見つかる前にハイネ王女と離れてしまえる。
そんな甘い考えを分かっていたかのように、リリはいつもよりも少し早く会場入りした。
いないことを願いながら、無意識にリリを探し、手に絡みついてくるハイネ王女を鬱陶しく思った。
願いは残酷にも裏切られ、自分より先にリリにこちらが見つかった。
ざわざわと人の波が動くなか、驚いた顔でこちらを見たまま固まるリリと目が合うと、周りの音が抜け落ちたように聞こえなくなる。