Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
自分の喉がひゅっと鳴った音で我に帰ると、リリは扉に向かって一直線に進んでいた。
慌ててハイネ王女を階段の下まで降ろすと、さっさと手を離し、今降りてきた階段を一目散に駆け登る。
バンッと音を立てて扉を開け、見つけた彼女の背中に向かって、「リリ!!」と叫んだが、振り向きもせずにリリはスピードを上げて、会場から飛び出した。
慌てて後を追いかけるも、馬車留めの1番近いところに止めてある、スタゴナ公爵家の馬車に乗ってしまったリリには追い付けなかった。
せめて、先に気づくことができたら、、、とか
馬車が1番いいところに停まっていなければ、、、とかいろいろ考えるが、悪いのはうやむやにしか伝えられなかった自分だ。
リリに、逃げられたことのショックから立ち直れず、馬で追うという案がすぐには出てこなかった。
意気消沈のまま、自宅に帰るとカイからの速達が来ていた。
『全てを貴方の口から説明してください。』
といった内容で、少ししたら我が家に着くとも書いてあった。
約束通り、俺が家に着いてから15分もしないうちにカイが着いた。
会って早々こちらの顔を見て、大きなため息をつくカイは、一応俺の部下なはずなのに。
「何してんですか、先輩。
はっきりしない俺の姉に嫌気が差して乗り換えることにしたんですか?」
「違う!!!
リリを思う気持ちは何も変わらない!
ただ、ハイネ王女と王妃に嵌められただけだ。」
反射的に叫ぶと、強い目を向けられた。
「貴方ほどの人が、なぜそんなことに。
姉は詳しい説明もされず、会えなくなったと言われて夜会で見た光景にショックを受けて、事情を説明しようともしません。
俺は、マリンが、姉さんから断片的に聞いたことを整理して、先輩に説明してもらおうと思ったんです。
包み隠さず、全て正しいことだけを教えてください。」
言いながらどんどんと表情がきつくなっていくカイを見て、どれだけリリを傷つけたのか知らされた。
「俺は、最近ハイネ王女に絡まれることが多くなっていたんだ。
あの方の護衛が終わったのは、もう2年も前のことだから、正直理由が分からなかった。
それで、俺にはリリがいるからときっぱり断っていたんだ。
それが、あの方のプライドや王族としての自尊心を傷つけていたんだろう。」
呼吸が荒くなり、一呼吸で言い切り息を吸う。
「それが限界に達した今日、夜会でのエスコートをするように、と王妃を使って命令してきたんだ。
俺の家にわざわざ使者を送りつけて、返事はいらないとほざいて、いや、おっしゃってな。
つまり、俺は当て付けにされたんだ。」
1つ1つ言葉にすると、自分がどんなに物事の本質を見抜けていないかが、ありありと分かって辛い。
ハイネ王女を傷つけたことなど、どうでもいいが、回り回ってリリを傷つけることになったのは、俺の立ち回り方の悪さが理由だ。
「それで、先輩はどうしたいんですか?」
シンプルな質問。
「リリに全てを話して、もう一度やり直したい。
こんなことで、終わりにはしたくないんだ。
もう、カッコ悪いところも全て見せてしまっているんだ。
どんなにカッコ悪くたっていいから、俺の気持ちが嘘だったとは思って欲しくない。」
「はぁ、、、、、。
確かに、もうこれ以上カッコ悪いことはないですよね。
浮気を疑われて、切り捨てるでもなく、謝ろうとするなんて。
でも、貴方らしいと思いますよ。
それに、俺とマリンを始めとした屋敷の者は、誰も貴方のことを疑ってなんていませんよ。
そんなに器用な人ではないことを知っているので。
姉さんだって、分かっているはずです。
ただ、信じるための、確かな理由がないだけで。
お願いします。
できるだけ早く、姉さんの誤解を解いてください。」
ここまで来ると褒められていないことに気づくが、それはもうしょうがないと思う。
今思えば、失敗だらけで、屋敷の者はみんな全部それを知っているのだから。
カッコつけなくていいと思ったら、幾分楽になった。
後できることは、リリの誤解を解き、許してもらうことだ。
「あぁ、意志はもう固まったよ。
どんなにカッコ悪くてもいいから、全部ぶつけてくるさ。
こんな先輩で悪かったな。」
「本当ですよ。
俺も何も知らないまま、憧れの騎士として憧れているだけでいられたら、どんなに楽だったことか。
それが今や、こんなに凹んだ先輩のアフターケアをしに、わざわざ来なきゃならないなんて。
入団したばっかりの自分に教えてやりたいですよ。
こんなに、恋愛下手な先輩だったって。」
ひどい言われようだが、何も間違っちゃいない。
先輩としての威厳なんて、最早どこにも見られないが、そゆなものに構っていられない。
「悪かったな。理想像を崩して。
だが、カイには感謝しているよ。ありがとうな。」
素直にお礼を言って、頭を下げる。
「そんなに、感謝されるのも悪いですね。
それならば、必ず誤解を解いて、そろそろ進展してくださいね。
付き合いきれませんから。」
「そうだな。頑張って来るよ。」
慌ててハイネ王女を階段の下まで降ろすと、さっさと手を離し、今降りてきた階段を一目散に駆け登る。
バンッと音を立てて扉を開け、見つけた彼女の背中に向かって、「リリ!!」と叫んだが、振り向きもせずにリリはスピードを上げて、会場から飛び出した。
慌てて後を追いかけるも、馬車留めの1番近いところに止めてある、スタゴナ公爵家の馬車に乗ってしまったリリには追い付けなかった。
せめて、先に気づくことができたら、、、とか
馬車が1番いいところに停まっていなければ、、、とかいろいろ考えるが、悪いのはうやむやにしか伝えられなかった自分だ。
リリに、逃げられたことのショックから立ち直れず、馬で追うという案がすぐには出てこなかった。
意気消沈のまま、自宅に帰るとカイからの速達が来ていた。
『全てを貴方の口から説明してください。』
といった内容で、少ししたら我が家に着くとも書いてあった。
約束通り、俺が家に着いてから15分もしないうちにカイが着いた。
会って早々こちらの顔を見て、大きなため息をつくカイは、一応俺の部下なはずなのに。
「何してんですか、先輩。
はっきりしない俺の姉に嫌気が差して乗り換えることにしたんですか?」
「違う!!!
リリを思う気持ちは何も変わらない!
ただ、ハイネ王女と王妃に嵌められただけだ。」
反射的に叫ぶと、強い目を向けられた。
「貴方ほどの人が、なぜそんなことに。
姉は詳しい説明もされず、会えなくなったと言われて夜会で見た光景にショックを受けて、事情を説明しようともしません。
俺は、マリンが、姉さんから断片的に聞いたことを整理して、先輩に説明してもらおうと思ったんです。
包み隠さず、全て正しいことだけを教えてください。」
言いながらどんどんと表情がきつくなっていくカイを見て、どれだけリリを傷つけたのか知らされた。
「俺は、最近ハイネ王女に絡まれることが多くなっていたんだ。
あの方の護衛が終わったのは、もう2年も前のことだから、正直理由が分からなかった。
それで、俺にはリリがいるからときっぱり断っていたんだ。
それが、あの方のプライドや王族としての自尊心を傷つけていたんだろう。」
呼吸が荒くなり、一呼吸で言い切り息を吸う。
「それが限界に達した今日、夜会でのエスコートをするように、と王妃を使って命令してきたんだ。
俺の家にわざわざ使者を送りつけて、返事はいらないとほざいて、いや、おっしゃってな。
つまり、俺は当て付けにされたんだ。」
1つ1つ言葉にすると、自分がどんなに物事の本質を見抜けていないかが、ありありと分かって辛い。
ハイネ王女を傷つけたことなど、どうでもいいが、回り回ってリリを傷つけることになったのは、俺の立ち回り方の悪さが理由だ。
「それで、先輩はどうしたいんですか?」
シンプルな質問。
「リリに全てを話して、もう一度やり直したい。
こんなことで、終わりにはしたくないんだ。
もう、カッコ悪いところも全て見せてしまっているんだ。
どんなにカッコ悪くたっていいから、俺の気持ちが嘘だったとは思って欲しくない。」
「はぁ、、、、、。
確かに、もうこれ以上カッコ悪いことはないですよね。
浮気を疑われて、切り捨てるでもなく、謝ろうとするなんて。
でも、貴方らしいと思いますよ。
それに、俺とマリンを始めとした屋敷の者は、誰も貴方のことを疑ってなんていませんよ。
そんなに器用な人ではないことを知っているので。
姉さんだって、分かっているはずです。
ただ、信じるための、確かな理由がないだけで。
お願いします。
できるだけ早く、姉さんの誤解を解いてください。」
ここまで来ると褒められていないことに気づくが、それはもうしょうがないと思う。
今思えば、失敗だらけで、屋敷の者はみんな全部それを知っているのだから。
カッコつけなくていいと思ったら、幾分楽になった。
後できることは、リリの誤解を解き、許してもらうことだ。
「あぁ、意志はもう固まったよ。
どんなにカッコ悪くてもいいから、全部ぶつけてくるさ。
こんな先輩で悪かったな。」
「本当ですよ。
俺も何も知らないまま、憧れの騎士として憧れているだけでいられたら、どんなに楽だったことか。
それが今や、こんなに凹んだ先輩のアフターケアをしに、わざわざ来なきゃならないなんて。
入団したばっかりの自分に教えてやりたいですよ。
こんなに、恋愛下手な先輩だったって。」
ひどい言われようだが、何も間違っちゃいない。
先輩としての威厳なんて、最早どこにも見られないが、そゆなものに構っていられない。
「悪かったな。理想像を崩して。
だが、カイには感謝しているよ。ありがとうな。」
素直にお礼を言って、頭を下げる。
「そんなに、感謝されるのも悪いですね。
それならば、必ず誤解を解いて、そろそろ進展してくださいね。
付き合いきれませんから。」
「そうだな。頑張って来るよ。」