Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
ハイネ王女のところや、ワイバ新興伯爵のところに送っている密偵は、デマを流しただけで、他に怪しい動きはない、と報告してきました。
他の貴族は失脚を狙うほど、因縁がありません。
何か別の角度から探さなければいけないと思います。」
私とお父様、両方に言うと優しい目でこっちを見た。
想像以上に厳しい条件にあると分かり、体温が下がった気がした。
「あぁ、そうだな。
俺は王宮議会に用があるから、行くが、フォルティスは騎士団の方から探ってみてくれ。
リリは親戚に使用人の受け入れを尋ねる書状を書いて、早めに送ってくれ。
各自、今日の夜に。」
そう言ってお父様は急いで出ていってしまった。
書斎に入ったのは久しぶりなのに、やっと視界に入ってきた。
心配そうなフォルティスと目が合い、微笑んで見せた。
「私、仕事に取りかかるわ。
それじゃあ、頑張ってね。」
ぎゅっと袖を掴んでほっぺたに口付けると、扉向かった。
の瞬間に、引き寄せられぎゅーっと抱き締められた後、短くキスをされた。
安心する、お守りのようなキスだった。
その日から、書状を送り、帰ってきた快諾するような内容にお礼をしたり、使用人に知らせたり、奔走していた。
マリンも時間が空くとリストを作ったり、いらなくなった書類を炭にしたりする手伝いをしてくれた。
他にも、ノブレス・オブリージュとして領地内の孤児院を訪れて、冬に向けての支援をしたり、道の幅を広くする工事を民営のところに依頼したり、領地の活性化に働きかけた。
お父様もフォルティスも、情報をかき集めていたが、危険物を混入させている黒幕にはたどり着けなかった。
その間にも、被害者だけが増え、疑惑も深まってしまった。
嬉しい出来事と言えば、カイが昇進してマントの色が変わったくらいで、みんな焦りを隠しきれなかった。
フォルティスと私も、結婚式なんて話は全く出なくなり、朝夕の食事の度に、お互いの情報交換だけになった。
寂しいし、不安になるばかりでよくないと思い、カイの誕生日を祝うパーティーを、極わずかな親戚だけを招いて、行った。
そこで聞いたのは、カリオス帝国の中でシェヴァ王子が私との結婚を望み、動いているということだった。
カリオス帝国に領地を持つ、私のおじさんはお父様そっくりの神妙な面持ちでこう言った。
「帝国内では、リリアンヌとの結婚を喜ぶ声まで上がっている。
こっちでは何も噂にならないのが、不思議なくらいだよ。」
この時は、誰も驚くばかりで気づかなかった、、、
とうとう、私が仕事を手伝うようになってから10日後、お父様が国王名義で召集されてしまった。
これは、議会だけではなく、国王までが怪しいと思うようになったことを意味している。
フォルティスとお父様はこの時までに、覆せるだけの証拠を集めようとしていたが、確信できるような証拠も、黒幕と言えそうな者の名前さえも出てこなかった。
朝、誰も口を開かずに食事を終えると、お父様は正装で、カイと一緒に馬車に乗り王宮に向かってしまった。
処分が下るまでに何もできなかったら、お父様は処刑か終身刑になってしまう。
もちろん、私たちはお家潰しということで、路頭に迷うことになる。
最悪の時は、家財を使用人に持たせ、それぞれの約束の家へ送り出すことになっているが、それだけは避けなければ、スタゴナ公爵家の名前は途絶えてしまう。
今日の私の予定は、なぜか、急にうちに珍しい薔薇の花を分けてくれるという、シェヴァ王子との面会のための準備だ。
まだ、時々花の話が続いていて、時々花が送られてきたり、種を送ったりしている。
噂の有無を確かめるため、手紙のやり取りを続けるようにフォルティスに頼まれたから続けてはいたが、怪しい内容は見当たらない。
向こうの国では、新種開発が盛んで最近は色に特化しているらしい。
ただ、伝統文化が潰えてしまうと反対する大臣も多いようで苦労していると書いてあった。
「お久しぶりですね、シェヴァ王子。
お元気そうで良かったです。」
馬車からすたっと身軽に降りてきた彼と向き合って思った。
前に会ったときよりも少し身長も伸びて、見た目も大人っぽくなっていた。
「はい、風邪さえ引いてませんよ。
相変わらず、リリアンヌ殿もきれいですね。
美しいというのがぴったりだ。」
王子というものは、こんなにさらっと人を誉められるものなんだろう。
周囲に花が浮かぶような笑顔もさすがですと言いたくなる。
何人かの従者が追い付き、積み荷を出してくれた。
その中の1つに、青みがかった紫の小ぶりでかわいい薔薇があった。
他にも、花びら全体がオレンジのグラデーションになっている種類や、雪のように白銀に輝く薔薇もある。
どれもこれも、植えて増やすことができるようになっていた。
なので、庭師を呼んで育て方の引き継ぎをしてもらう。
他にもドライフラワーになった花のピアスや、花の香水を頂いてしまって申し訳ない。
こんなにもいっぱいくれるとは思っていなかったから、お返しが足りないかもしれないわ。
「お礼のものが少なくて、申し訳ないのですが、これをどうぞ。」
客間に用意しておいたものを見せると、シェヴァ王子は喜んでくれた。
自分の名前がついていて恥ずかしいけれど、確かに最高品質のワイン『リリアーニュ』は雪解け水を使っているので、驚くほどなめらかだ。
うちのワインは貯蔵する樽の木の種類によって名前が違う。リリアは桜を意味している。
それと一緒に、ワイングラスもあげることにしていた。
シャンデリアや蝋燭、それぞれの明かりの見え方にも対応するように職人さんが10年かけて作り上げた最高のもの。
それがとうとう商品化されたのだ。
マリンに開けてもらい、グラスに注がれると、興味津々で香ったり、色を見た後、一口飲んでは美味しいと言ってくれた。
楽しい時間もあっという間で、シェヴァ王子は王宮での会食も呼ばれてしまったんだ、と言いながら帰る支度をしていた。
迎えと同じように見送りに出ると、馬車がタイミングよく止まった。
「今日はリリアンヌ嬢に会えて良かった。
少し時間が開いたけれど、変わらない対応で嬉しかったです。
今度はもっと頻繁に会えるといいのですが。」
そう言って、微笑んだ。
あまりに短い時間だったので、何がなんだか分からないくらいだったけど、飾られている新種の薔薇が、シェヴァ王子がここにいたんだと証拠づけていた。
他の貴族は失脚を狙うほど、因縁がありません。
何か別の角度から探さなければいけないと思います。」
私とお父様、両方に言うと優しい目でこっちを見た。
想像以上に厳しい条件にあると分かり、体温が下がった気がした。
「あぁ、そうだな。
俺は王宮議会に用があるから、行くが、フォルティスは騎士団の方から探ってみてくれ。
リリは親戚に使用人の受け入れを尋ねる書状を書いて、早めに送ってくれ。
各自、今日の夜に。」
そう言ってお父様は急いで出ていってしまった。
書斎に入ったのは久しぶりなのに、やっと視界に入ってきた。
心配そうなフォルティスと目が合い、微笑んで見せた。
「私、仕事に取りかかるわ。
それじゃあ、頑張ってね。」
ぎゅっと袖を掴んでほっぺたに口付けると、扉向かった。
の瞬間に、引き寄せられぎゅーっと抱き締められた後、短くキスをされた。
安心する、お守りのようなキスだった。
その日から、書状を送り、帰ってきた快諾するような内容にお礼をしたり、使用人に知らせたり、奔走していた。
マリンも時間が空くとリストを作ったり、いらなくなった書類を炭にしたりする手伝いをしてくれた。
他にも、ノブレス・オブリージュとして領地内の孤児院を訪れて、冬に向けての支援をしたり、道の幅を広くする工事を民営のところに依頼したり、領地の活性化に働きかけた。
お父様もフォルティスも、情報をかき集めていたが、危険物を混入させている黒幕にはたどり着けなかった。
その間にも、被害者だけが増え、疑惑も深まってしまった。
嬉しい出来事と言えば、カイが昇進してマントの色が変わったくらいで、みんな焦りを隠しきれなかった。
フォルティスと私も、結婚式なんて話は全く出なくなり、朝夕の食事の度に、お互いの情報交換だけになった。
寂しいし、不安になるばかりでよくないと思い、カイの誕生日を祝うパーティーを、極わずかな親戚だけを招いて、行った。
そこで聞いたのは、カリオス帝国の中でシェヴァ王子が私との結婚を望み、動いているということだった。
カリオス帝国に領地を持つ、私のおじさんはお父様そっくりの神妙な面持ちでこう言った。
「帝国内では、リリアンヌとの結婚を喜ぶ声まで上がっている。
こっちでは何も噂にならないのが、不思議なくらいだよ。」
この時は、誰も驚くばかりで気づかなかった、、、
とうとう、私が仕事を手伝うようになってから10日後、お父様が国王名義で召集されてしまった。
これは、議会だけではなく、国王までが怪しいと思うようになったことを意味している。
フォルティスとお父様はこの時までに、覆せるだけの証拠を集めようとしていたが、確信できるような証拠も、黒幕と言えそうな者の名前さえも出てこなかった。
朝、誰も口を開かずに食事を終えると、お父様は正装で、カイと一緒に馬車に乗り王宮に向かってしまった。
処分が下るまでに何もできなかったら、お父様は処刑か終身刑になってしまう。
もちろん、私たちはお家潰しということで、路頭に迷うことになる。
最悪の時は、家財を使用人に持たせ、それぞれの約束の家へ送り出すことになっているが、それだけは避けなければ、スタゴナ公爵家の名前は途絶えてしまう。
今日の私の予定は、なぜか、急にうちに珍しい薔薇の花を分けてくれるという、シェヴァ王子との面会のための準備だ。
まだ、時々花の話が続いていて、時々花が送られてきたり、種を送ったりしている。
噂の有無を確かめるため、手紙のやり取りを続けるようにフォルティスに頼まれたから続けてはいたが、怪しい内容は見当たらない。
向こうの国では、新種開発が盛んで最近は色に特化しているらしい。
ただ、伝統文化が潰えてしまうと反対する大臣も多いようで苦労していると書いてあった。
「お久しぶりですね、シェヴァ王子。
お元気そうで良かったです。」
馬車からすたっと身軽に降りてきた彼と向き合って思った。
前に会ったときよりも少し身長も伸びて、見た目も大人っぽくなっていた。
「はい、風邪さえ引いてませんよ。
相変わらず、リリアンヌ殿もきれいですね。
美しいというのがぴったりだ。」
王子というものは、こんなにさらっと人を誉められるものなんだろう。
周囲に花が浮かぶような笑顔もさすがですと言いたくなる。
何人かの従者が追い付き、積み荷を出してくれた。
その中の1つに、青みがかった紫の小ぶりでかわいい薔薇があった。
他にも、花びら全体がオレンジのグラデーションになっている種類や、雪のように白銀に輝く薔薇もある。
どれもこれも、植えて増やすことができるようになっていた。
なので、庭師を呼んで育て方の引き継ぎをしてもらう。
他にもドライフラワーになった花のピアスや、花の香水を頂いてしまって申し訳ない。
こんなにもいっぱいくれるとは思っていなかったから、お返しが足りないかもしれないわ。
「お礼のものが少なくて、申し訳ないのですが、これをどうぞ。」
客間に用意しておいたものを見せると、シェヴァ王子は喜んでくれた。
自分の名前がついていて恥ずかしいけれど、確かに最高品質のワイン『リリアーニュ』は雪解け水を使っているので、驚くほどなめらかだ。
うちのワインは貯蔵する樽の木の種類によって名前が違う。リリアは桜を意味している。
それと一緒に、ワイングラスもあげることにしていた。
シャンデリアや蝋燭、それぞれの明かりの見え方にも対応するように職人さんが10年かけて作り上げた最高のもの。
それがとうとう商品化されたのだ。
マリンに開けてもらい、グラスに注がれると、興味津々で香ったり、色を見た後、一口飲んでは美味しいと言ってくれた。
楽しい時間もあっという間で、シェヴァ王子は王宮での会食も呼ばれてしまったんだ、と言いながら帰る支度をしていた。
迎えと同じように見送りに出ると、馬車がタイミングよく止まった。
「今日はリリアンヌ嬢に会えて良かった。
少し時間が開いたけれど、変わらない対応で嬉しかったです。
今度はもっと頻繁に会えるといいのですが。」
そう言って、微笑んだ。
あまりに短い時間だったので、何がなんだか分からないくらいだったけど、飾られている新種の薔薇が、シェヴァ王子がここにいたんだと証拠づけていた。