Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
暗雲に覆われた未来
リリアンヌがシェヴァ王子からもらった薔薇に水をやっていたとき、フォルティスが帰って来た。
いつもの暗い表情とは打ってかわって、生き生きとしていた。
不思議に思って尋ねてみると、
「怪しい人物を見つけた。
書類の住所と実際の場所が一致しないし、最近金回りが良くなったと噂されていた男だ。
こいつが誰の命令で動いているのか、問い詰めることにする。」
と言われた。
想像以上の手応えに、喜びが湧く。
「頑張ってね。
使用人にも、その人が怪しい行動をしていなかったか、聞いてみるわ。」
短く会話すると、それぞれ次の行動に移る。
最近はもう、恋人というより味方や仲間と言う方が合っているかもしれない。
そして、さらに運がいいことにその男が問題となっている貯蔵庫に入っていくのを見た使用人がいた。
首尾よく進んだので、問い詰めているだろうフォルティスに差し入れようとサンドイッチを準備した。
シェフからバケットを受け取り、部屋に向かうとなぜかフォルティスの声がしない。
不思議になって扉を開けると、男がぼそぼそと話していて、フォルティスはメモを録っていた。
少しして、話が終わるとフォルティスは男の縄を引っ張り、立たせると地下の牢屋に連れていき戻ってきた。
男は、カリオス帝国出身でワインの技術者としてこの国で働いていたと、偽っていた。
実際は、カリオス帝国の城内で働いていたところ、産業大臣に声をかけられ、この仕事を持ちかけられた、らしい。
驚くような報酬に、飛び付いてこの屋敷に入った。
こんなに早く吐いたのは、報酬なんてもらえるわけがないとフォルティスに一蹴され、自暴自棄になったかららしい。
信じられないことに、この国で起きたことなのに、黒幕はカリオス帝国の産業大臣だった。
2日後の議会までに、動機と男が関わったという証拠を見つけ出して、お父様が無実であることを国王に直接訴えるということになった。
フォルティスはシェヴァ王子が、王宮にいる今がチャンスだということで、明日はフェニックスの本分である、スパイをするらしい。
私は、明日ばかりはできることがないから、大人しくしていることにした。
「フォルティス、忘れるとこだったわ。
これ、食べて。
すごく疲れているはずよ。
しょうがないことだけど、これは体力勝負でもあるわ。
体調管理もしっかりしないと。
暖かいミルクもあるから、胃を温めて労ってあげて。
それと、疲労回復のオレンジ。
ちゃんと全部食べてね。
それじゃあ、私はさっき食べて終わってしまったから、部屋に戻るわね。
おやすみなさい。」
「待って、リリ。
ここにいてくれないか?
最近一緒にいられる時間がなくて、寂しいから。
本当はもっといちゃいちゃしていたいのに。」
同意を求められても、こんなに急に出された甘い雰囲気に乗れずにただ、真っ赤になってしまうだけ。
膝の上でこぶしをぎゅっと握って、目を反らした。
すると、サンドイッチを食べながら空いた方の手でほっぺたに手を当てられる。
「寂しかったのは、俺だけなのか?」
子犬のような弱った表情に、ついつい言葉が滑り出る。
「違うわ!
私だって、もっと一緒にいる時間が欲しかった。
でも、フォルティスはこの家のために頑張ってくれているんだもの、そんなにわがまま言えるわけないじゃない。
だから、遠慮してたのに、、、」
「ごめんな、気づいてやれなくて。
でも、俺はこの家のためにやってきたのはもちろんだけど、リリのためでもあるんだぞ。
俺がリリと結婚したいから、だ。
俺はリリさえ良ければ、爵位なんて関係ないんだよ。
例えば、俺が護衛とかで稼いだお金で、普通に暮らしたりしてもいい。
どんな形であれ、一緒にいれたらそれでいいんだ。
でも、それだとリリにも不自由な思いをさせてしまう。
だから、必死なんだ。」
ううん、それでも、、、
「確かに、私はこの生活に慣れているかもしれないわ。
でも、フォルティスがいてくれれば、どんな生活でも生きていけると思うわ。
私も家庭教師の仕事でも探すわ。
今まで、教えて頂いた教養を活かせば、それなりの所で働けると思うの。
フォルティス1人に、大変な思いなんてさせない。
一緒に分け合うのよ、何でも。」
こんなに偉そうな逆プロポーズもなかなかないだろうな。
フォルティスだって呆気にとられているし。
「ぷっ、あっはははは!
リリってば、まさかこんなときにプロポーズしてくれるなんて、びっくりだよ。
さっきまでしょんぼりしてたと思ったら、急に叱ってくるなんて。
本当に、想像の斜め上を行くな。」
ひとしきり笑うと、真面目な顔をしてこう言った。
「でも、そうしてずっと笑顔を見せてほしい。
こんなに大変な今、俺が頑張れているのはリリのおかげだよ。
リリとの未来のためだからな。
だから、この先何があっても最後まで俺を信じてほしい。
どんなに困難な状況でも、俺は諦めないから。
一生の目標だからな、リリを幸せにすることは。
他のやつには譲らないよ。」
真剣な熱の籠った目で見られると、反らせなくなる。
いつもの暗い表情とは打ってかわって、生き生きとしていた。
不思議に思って尋ねてみると、
「怪しい人物を見つけた。
書類の住所と実際の場所が一致しないし、最近金回りが良くなったと噂されていた男だ。
こいつが誰の命令で動いているのか、問い詰めることにする。」
と言われた。
想像以上の手応えに、喜びが湧く。
「頑張ってね。
使用人にも、その人が怪しい行動をしていなかったか、聞いてみるわ。」
短く会話すると、それぞれ次の行動に移る。
最近はもう、恋人というより味方や仲間と言う方が合っているかもしれない。
そして、さらに運がいいことにその男が問題となっている貯蔵庫に入っていくのを見た使用人がいた。
首尾よく進んだので、問い詰めているだろうフォルティスに差し入れようとサンドイッチを準備した。
シェフからバケットを受け取り、部屋に向かうとなぜかフォルティスの声がしない。
不思議になって扉を開けると、男がぼそぼそと話していて、フォルティスはメモを録っていた。
少しして、話が終わるとフォルティスは男の縄を引っ張り、立たせると地下の牢屋に連れていき戻ってきた。
男は、カリオス帝国出身でワインの技術者としてこの国で働いていたと、偽っていた。
実際は、カリオス帝国の城内で働いていたところ、産業大臣に声をかけられ、この仕事を持ちかけられた、らしい。
驚くような報酬に、飛び付いてこの屋敷に入った。
こんなに早く吐いたのは、報酬なんてもらえるわけがないとフォルティスに一蹴され、自暴自棄になったかららしい。
信じられないことに、この国で起きたことなのに、黒幕はカリオス帝国の産業大臣だった。
2日後の議会までに、動機と男が関わったという証拠を見つけ出して、お父様が無実であることを国王に直接訴えるということになった。
フォルティスはシェヴァ王子が、王宮にいる今がチャンスだということで、明日はフェニックスの本分である、スパイをするらしい。
私は、明日ばかりはできることがないから、大人しくしていることにした。
「フォルティス、忘れるとこだったわ。
これ、食べて。
すごく疲れているはずよ。
しょうがないことだけど、これは体力勝負でもあるわ。
体調管理もしっかりしないと。
暖かいミルクもあるから、胃を温めて労ってあげて。
それと、疲労回復のオレンジ。
ちゃんと全部食べてね。
それじゃあ、私はさっき食べて終わってしまったから、部屋に戻るわね。
おやすみなさい。」
「待って、リリ。
ここにいてくれないか?
最近一緒にいられる時間がなくて、寂しいから。
本当はもっといちゃいちゃしていたいのに。」
同意を求められても、こんなに急に出された甘い雰囲気に乗れずにただ、真っ赤になってしまうだけ。
膝の上でこぶしをぎゅっと握って、目を反らした。
すると、サンドイッチを食べながら空いた方の手でほっぺたに手を当てられる。
「寂しかったのは、俺だけなのか?」
子犬のような弱った表情に、ついつい言葉が滑り出る。
「違うわ!
私だって、もっと一緒にいる時間が欲しかった。
でも、フォルティスはこの家のために頑張ってくれているんだもの、そんなにわがまま言えるわけないじゃない。
だから、遠慮してたのに、、、」
「ごめんな、気づいてやれなくて。
でも、俺はこの家のためにやってきたのはもちろんだけど、リリのためでもあるんだぞ。
俺がリリと結婚したいから、だ。
俺はリリさえ良ければ、爵位なんて関係ないんだよ。
例えば、俺が護衛とかで稼いだお金で、普通に暮らしたりしてもいい。
どんな形であれ、一緒にいれたらそれでいいんだ。
でも、それだとリリにも不自由な思いをさせてしまう。
だから、必死なんだ。」
ううん、それでも、、、
「確かに、私はこの生活に慣れているかもしれないわ。
でも、フォルティスがいてくれれば、どんな生活でも生きていけると思うわ。
私も家庭教師の仕事でも探すわ。
今まで、教えて頂いた教養を活かせば、それなりの所で働けると思うの。
フォルティス1人に、大変な思いなんてさせない。
一緒に分け合うのよ、何でも。」
こんなに偉そうな逆プロポーズもなかなかないだろうな。
フォルティスだって呆気にとられているし。
「ぷっ、あっはははは!
リリってば、まさかこんなときにプロポーズしてくれるなんて、びっくりだよ。
さっきまでしょんぼりしてたと思ったら、急に叱ってくるなんて。
本当に、想像の斜め上を行くな。」
ひとしきり笑うと、真面目な顔をしてこう言った。
「でも、そうしてずっと笑顔を見せてほしい。
こんなに大変な今、俺が頑張れているのはリリのおかげだよ。
リリとの未来のためだからな。
だから、この先何があっても最後まで俺を信じてほしい。
どんなに困難な状況でも、俺は諦めないから。
一生の目標だからな、リリを幸せにすることは。
他のやつには譲らないよ。」
真剣な熱の籠った目で見られると、反らせなくなる。