Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
初手は国境越えの馬車から。
恥ずかしそうにエスコートしてもらい、馬車に乗ると不安げな様子を見せるために、ハンカチを握りしめたりしてみた。
ゆっくりとした動作でできる限り時間を稼いだけれど、側近の人にイライラされたので、やめた。
すると、マリンも合わせてくれて、
「リリアンヌ様は、馬車で酔ってしまうのです。
所々で休憩を少しでいいので入れて頂けませんか?」
と謙虚に申し出てくれた。
これは、大成功でシェヴァ王子はマリンを盛大に褒めた。
「こんなに主に気を配り、配慮をできるのは素晴らしいね。
分かった。1時間おきに小休憩を取ろう。
焦らず、ゆっくり行こう。」
そう言って、微笑みまで向けたのだ。
こんなに疑われることなく、時間を稼げるなんて、幸先がいいわね。
「申し訳ございません。
私の身勝手な理由で、帰国を遅らせてしまって。」
殊勝な態度で謝ってみたり。
「いえいえ。当然のことですよ。
時間をかければ、馬への負担も小さくて済む。
城に帰ったら、反発の小さな馬車を作るよう、急いで命令致したしょう。」
完璧ね。
こんなに演技が疑われないのは、気持ちがいいわ。
「ありがとうございます。
嬉しいです。」
微笑みを浮かべてぺこりと頭を下げると、弾けたような笑顔で謙遜された。
休憩をもらって、近くの池に足を運ぶとそよそよと葉っぱの音がしたり、鳥の鳴き声がして、酔ったわけではないのに、頭がすっきりとしたような感じがする。
「あの方は全くリリアンヌ様を疑っていないのですね。」
考え込んでいるようなマリンが顔を上げて唐突に言った。
「そうね。いいことだわ。
このまま、上手にやれるといいのだけど。
でも、少し申し訳なく感じるわね。」
「私も実は少し、、、。
もしかしたら、バレンシアさんは王子を巻き込もうとは思っていないのではないでしょうか。」
マリンの言うことに納得する。
そろそろ戻りましょうと言って、今来た道を戻る。
手入れのされていない、獣道を戻ると急に視界が開けて、帝国の紋章が入った馬車が見える。
そこで、じっくりと観察するような側近の目を見て、察した。
「でも、あの側近の方には気を付けましょう。
あの人はそんなに簡単じゃないわ。疑っている。」
「ええ、そうですね。
用心するに越したことはありません。」
2人でもう一度気を引き締めて、申し訳なさそうな顔で戻る。
手を貸してもらい、馬車に乗るとゆっくりと動き始めた。
最後の休憩が終わり、ここからは村を渡っていく。
王都の手前の宿場では、マリンと2人で温泉に浸からせてもらえた。
カリオス帝国の観光地として有名なところだったのですごく嬉しい。
貴族の御用達でもあるらしく、ちらほら見かけたけれど、貸し切りの部屋を取っていてくれたので、誰にも会うことなくすんだ。
食事も暖かい鹿鍋を食べた。
自分だけこんなに優雅に過ごしていいわけがないと罪悪感が時々襲ってきた。
それでも、この状況はいつでも戦闘中なのだと思い出した。
2人でここからどのように作戦を遂行するか相談して、明日の朝寝坊から始めることにした。
ふかふかの布団でぐっすりと寝ていると、出発の時間ぎりぎりに起こされた。
「リリアンヌ様、起きてください。」
「おはよう、マリン。
あら?どうしたの?何かあった?」
あまりにぶすっとした表情に何かあったのかと思う。
「あの王子か側近はなかなかの曲者ですよ。
私が滞在していた部屋に、朝来て疲れているだろうから出発を少し遅らせると連絡してきました。
相手のことまで考えられる器はありますよ。」
誉めているんだかよくわからない言い方で終わると、まったくもうといいながら用事を思い出したらしく、部屋を出ていった。
作戦通りいかなくて悔しい。
でも、到着が遅くなるならばそれがいい案なんだろう。
お城まではあと1日あれば着くらしい。
恥ずかしそうにエスコートしてもらい、馬車に乗ると不安げな様子を見せるために、ハンカチを握りしめたりしてみた。
ゆっくりとした動作でできる限り時間を稼いだけれど、側近の人にイライラされたので、やめた。
すると、マリンも合わせてくれて、
「リリアンヌ様は、馬車で酔ってしまうのです。
所々で休憩を少しでいいので入れて頂けませんか?」
と謙虚に申し出てくれた。
これは、大成功でシェヴァ王子はマリンを盛大に褒めた。
「こんなに主に気を配り、配慮をできるのは素晴らしいね。
分かった。1時間おきに小休憩を取ろう。
焦らず、ゆっくり行こう。」
そう言って、微笑みまで向けたのだ。
こんなに疑われることなく、時間を稼げるなんて、幸先がいいわね。
「申し訳ございません。
私の身勝手な理由で、帰国を遅らせてしまって。」
殊勝な態度で謝ってみたり。
「いえいえ。当然のことですよ。
時間をかければ、馬への負担も小さくて済む。
城に帰ったら、反発の小さな馬車を作るよう、急いで命令致したしょう。」
完璧ね。
こんなに演技が疑われないのは、気持ちがいいわ。
「ありがとうございます。
嬉しいです。」
微笑みを浮かべてぺこりと頭を下げると、弾けたような笑顔で謙遜された。
休憩をもらって、近くの池に足を運ぶとそよそよと葉っぱの音がしたり、鳥の鳴き声がして、酔ったわけではないのに、頭がすっきりとしたような感じがする。
「あの方は全くリリアンヌ様を疑っていないのですね。」
考え込んでいるようなマリンが顔を上げて唐突に言った。
「そうね。いいことだわ。
このまま、上手にやれるといいのだけど。
でも、少し申し訳なく感じるわね。」
「私も実は少し、、、。
もしかしたら、バレンシアさんは王子を巻き込もうとは思っていないのではないでしょうか。」
マリンの言うことに納得する。
そろそろ戻りましょうと言って、今来た道を戻る。
手入れのされていない、獣道を戻ると急に視界が開けて、帝国の紋章が入った馬車が見える。
そこで、じっくりと観察するような側近の目を見て、察した。
「でも、あの側近の方には気を付けましょう。
あの人はそんなに簡単じゃないわ。疑っている。」
「ええ、そうですね。
用心するに越したことはありません。」
2人でもう一度気を引き締めて、申し訳なさそうな顔で戻る。
手を貸してもらい、馬車に乗るとゆっくりと動き始めた。
最後の休憩が終わり、ここからは村を渡っていく。
王都の手前の宿場では、マリンと2人で温泉に浸からせてもらえた。
カリオス帝国の観光地として有名なところだったのですごく嬉しい。
貴族の御用達でもあるらしく、ちらほら見かけたけれど、貸し切りの部屋を取っていてくれたので、誰にも会うことなくすんだ。
食事も暖かい鹿鍋を食べた。
自分だけこんなに優雅に過ごしていいわけがないと罪悪感が時々襲ってきた。
それでも、この状況はいつでも戦闘中なのだと思い出した。
2人でここからどのように作戦を遂行するか相談して、明日の朝寝坊から始めることにした。
ふかふかの布団でぐっすりと寝ていると、出発の時間ぎりぎりに起こされた。
「リリアンヌ様、起きてください。」
「おはよう、マリン。
あら?どうしたの?何かあった?」
あまりにぶすっとした表情に何かあったのかと思う。
「あの王子か側近はなかなかの曲者ですよ。
私が滞在していた部屋に、朝来て疲れているだろうから出発を少し遅らせると連絡してきました。
相手のことまで考えられる器はありますよ。」
誉めているんだかよくわからない言い方で終わると、まったくもうといいながら用事を思い出したらしく、部屋を出ていった。
作戦通りいかなくて悔しい。
でも、到着が遅くなるならばそれがいい案なんだろう。
お城まではあと1日あれば着くらしい。