Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
後2週間で結婚式を迎えてしまう。
カイからの手紙には、お父様や使用人、フォルティスの安否と心配はいらないということばかりで、具体的な作戦は書かれていない。
万が一見られてもいいようになのかもしれないが、あまりに淡白すぎる。
私は何も知らせてもらえないせいで、やきもきしているしかない。
段々とこの状況にイライラしてきた。
どうして私だけ知らないのよ。
当事者じゃないの。思いっ切りの。
さっきドレスの採寸も終わったし、これから出入りの宝石商まで来る。
後戻りできない状況だ。
できるなら、あんなに優しいシェヴァ王子に嫌な思いをさせたり、恥をかかせたりしたくないのに。
「リリアンヌ様、お疲れですか?
何度も脱ぎ着して、大変でしたね。
少し熱めの紅茶をお持ちしました。休憩にしませんか?」
本当に気が利く。
「ありがとう、そうするわ。とても、疲れたの。」
「そうでしょうとも。リリアンヌ様1人でお決めになるのですから。
フォルティス様がいらっしゃれば、だいたいは決めてくれますからね。」
「ふふふ、そういう意味じゃないわよ。
確かにフォルティスはのりのりでオーダーしているけれど。」
「それはもう、リリアンヌ様の何倍も楽しそうにですよ。
デザインを選びきれずに、普段用に何着か作ってしまったり。
それはそれは微笑ましいです。」
「それ、ぜひ本人に言ってあげて。
多分普通のことだと思っているから。
お父様とお母さんもそうだったけど、一般的には女性が1人で決めるものなのに。」
どうにかマリンのアドバイスを元にデザインを完成されることができた。
何もないところから型も生地も選ぶのは大変なことなんだと改めて思った。
とうとうこの日が来てしまった。
あっという間に2週間がたってしまって、今日の朝、無事に御祓という名の断食が終わった。
服の微調整をしながら、美しく見えるようにほぼ毎日全身トリートメントされたり、デコルテを石でぐりぐりされたり、足をぐりぐり揉まれたり。
終わるたびにマリンが「ドレスで隠れて見えないのに、面倒ですね。」と言ってくれるのが面白かった。
婚礼の衣装はセパレートタイプのドレスでかっちりしたジャケットのような短めの上着と、チュールを何段も重ねたふわふわのスカートだ。
純白から薄いピンクを重ねているので、すごくきれいだ。
後ろのトレーンはすごく長くて、歩くときに持ってもらわなくてはいけない。
全体的にすごく豪華で、ドレスだけならばテンションは上がる。
いつも通りの紳士的なシェヴァ王子は、知識も豊富でいろいろ教えてくれる。
使用人からの信頼も厚いのが見ていると良く分かる。
でも、大事なのはそこじゃない。
うっかり結婚してしまいそうだっていうのに、フォルティスが助けてくれるのか怪しいことだ。
ウェディングドレスを着るのは一生に一回で十分。
もんもんとしていると、厳かに入ってきた侍従長が少し大きめのリースを渡してくれる。
これは国花でできていて、当日聖水の中に入れるもの。これを入れて私の儀式は終了する。
つまり、本当に後少しだということ。
こんなにキレイで妖しいまでの美しさをもつリースは私の焦りを増長させる。
とうとう部屋がノックされ、知っている騎士2人と知らない騎士が2人入ってきた。
その後ろにトレーンを持ってくれる侍女が2人。
4人の騎士に守られながら控え室を出ると、大きな扉があった。
これが開くと儀式が始まっしまって、婚姻を結ぶことになってしまう。
開きます、と言って前方2人が扉の取っ手に近づいたその時、右後ろにいた人が急に、
「用意はばっちりです。フォルティス団長を信じていてください。」
と言ってくれた。
「え?」と言って振り向こうとしたとき、扉が大きく開いたので振り向けなかった。
疑問符を頭の中にいくつも浮かべながら、ヴァージンロードを1本1本ゆっくりと進む。
フォルティスが迎えに来てくれたのか?でも、フォルティスは団長ではないのに。
こんな瞬間に別の人のことを考えているなんて神官様に知られたら、怒られてしまいそう。
ただでさえ、練習に身が入らなくて怒られたのに。
ふと視界の端に、大泣きしながらこちらを嬉しそうに見るマリンがいた。
どうして泣いているの?何に喜んでいるの?
いくつもの疑問が浮かび上がる。
真ん中くらいに来たとき、後ろから大きな声がした。
カイからの手紙には、お父様や使用人、フォルティスの安否と心配はいらないということばかりで、具体的な作戦は書かれていない。
万が一見られてもいいようになのかもしれないが、あまりに淡白すぎる。
私は何も知らせてもらえないせいで、やきもきしているしかない。
段々とこの状況にイライラしてきた。
どうして私だけ知らないのよ。
当事者じゃないの。思いっ切りの。
さっきドレスの採寸も終わったし、これから出入りの宝石商まで来る。
後戻りできない状況だ。
できるなら、あんなに優しいシェヴァ王子に嫌な思いをさせたり、恥をかかせたりしたくないのに。
「リリアンヌ様、お疲れですか?
何度も脱ぎ着して、大変でしたね。
少し熱めの紅茶をお持ちしました。休憩にしませんか?」
本当に気が利く。
「ありがとう、そうするわ。とても、疲れたの。」
「そうでしょうとも。リリアンヌ様1人でお決めになるのですから。
フォルティス様がいらっしゃれば、だいたいは決めてくれますからね。」
「ふふふ、そういう意味じゃないわよ。
確かにフォルティスはのりのりでオーダーしているけれど。」
「それはもう、リリアンヌ様の何倍も楽しそうにですよ。
デザインを選びきれずに、普段用に何着か作ってしまったり。
それはそれは微笑ましいです。」
「それ、ぜひ本人に言ってあげて。
多分普通のことだと思っているから。
お父様とお母さんもそうだったけど、一般的には女性が1人で決めるものなのに。」
どうにかマリンのアドバイスを元にデザインを完成されることができた。
何もないところから型も生地も選ぶのは大変なことなんだと改めて思った。
とうとうこの日が来てしまった。
あっという間に2週間がたってしまって、今日の朝、無事に御祓という名の断食が終わった。
服の微調整をしながら、美しく見えるようにほぼ毎日全身トリートメントされたり、デコルテを石でぐりぐりされたり、足をぐりぐり揉まれたり。
終わるたびにマリンが「ドレスで隠れて見えないのに、面倒ですね。」と言ってくれるのが面白かった。
婚礼の衣装はセパレートタイプのドレスでかっちりしたジャケットのような短めの上着と、チュールを何段も重ねたふわふわのスカートだ。
純白から薄いピンクを重ねているので、すごくきれいだ。
後ろのトレーンはすごく長くて、歩くときに持ってもらわなくてはいけない。
全体的にすごく豪華で、ドレスだけならばテンションは上がる。
いつも通りの紳士的なシェヴァ王子は、知識も豊富でいろいろ教えてくれる。
使用人からの信頼も厚いのが見ていると良く分かる。
でも、大事なのはそこじゃない。
うっかり結婚してしまいそうだっていうのに、フォルティスが助けてくれるのか怪しいことだ。
ウェディングドレスを着るのは一生に一回で十分。
もんもんとしていると、厳かに入ってきた侍従長が少し大きめのリースを渡してくれる。
これは国花でできていて、当日聖水の中に入れるもの。これを入れて私の儀式は終了する。
つまり、本当に後少しだということ。
こんなにキレイで妖しいまでの美しさをもつリースは私の焦りを増長させる。
とうとう部屋がノックされ、知っている騎士2人と知らない騎士が2人入ってきた。
その後ろにトレーンを持ってくれる侍女が2人。
4人の騎士に守られながら控え室を出ると、大きな扉があった。
これが開くと儀式が始まっしまって、婚姻を結ぶことになってしまう。
開きます、と言って前方2人が扉の取っ手に近づいたその時、右後ろにいた人が急に、
「用意はばっちりです。フォルティス団長を信じていてください。」
と言ってくれた。
「え?」と言って振り向こうとしたとき、扉が大きく開いたので振り向けなかった。
疑問符を頭の中にいくつも浮かべながら、ヴァージンロードを1本1本ゆっくりと進む。
フォルティスが迎えに来てくれたのか?でも、フォルティスは団長ではないのに。
こんな瞬間に別の人のことを考えているなんて神官様に知られたら、怒られてしまいそう。
ただでさえ、練習に身が入らなくて怒られたのに。
ふと視界の端に、大泣きしながらこちらを嬉しそうに見るマリンがいた。
どうして泣いているの?何に喜んでいるの?
いくつもの疑問が浮かび上がる。
真ん中くらいに来たとき、後ろから大きな声がした。