Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
縮まる距離
鳥の楽しそうな声が聞こえる。
いつものリリアンヌが起きる時間のだいぶ前。
階下ではマリンが驚きの声をあげ、バタバタと動き回っていた。
目が、覚めてしまったわ。
起床時間の一時間も前なのに。何しようかな。
フォルティス様が何時に来られるか分からないから、早めに起きようとは思ったけれど、、、
それにしても階下はこんなににぎやかなのね。
朝の早いうちからみんな支度をしてくれているのか。
布団から出てみるという勇気はない。
そうしたら、もう少し寝てしまおうかしら、、、
「失礼いたします、、、!!」
いつもの静かな様子とはかけ離れた、マリンの様子を見て、何かあったのかと思う。
「あら、おはよう。マリン。早いのね。」
「おはようございます。リリアンヌ様。
お嬢様こそとても早いですね。」
私が起きていたことに安心したように、こちらを見てから素早くカーテンを開けて、光を取り込んでいく。
今日は朝から天気がいい。
「寝れなかったわけではないし、少し前に目が覚めただけよ。」
「そうですか、それはちょうど良かったです。
フォルティス様がお着きになられまして。」
私がベットから這い出る間に手短に説明してくれる。
「え!?8時半よ?まだ!」
こんなに早いとは思わなかったわ!
びっくりして最後の一歩でベットから転げ落ちるかと思ったくらいだ。
「もちろんです。気にせず、ゆっくり支度をして欲しいと。
楽しみ過ぎて、早くいらしてしまったそうです。」
苦笑いで答えるマリンは、口は動かし続けても手は止まることがない。
「そう、でも待たせると悪いし、急ぐわ。」
そう言ってパタパタと洗面台に向かい、髪をくくる。
会いたくて、とは嬉しい。
そんなにまっすぐに好意を向けられるのはなんだかくすぐったい気もする。
なおさら急がなくては。
「かしこまりました。」
マリンはにっこり笑うと、メイクボックスから必要なものを出して並べ始める。
顔を拭いて肌の調子を整えてるクリームを塗っている間に、こてで髪にくせを付けていく。
一通りくせをつけたら、冷めるまでの間にメイクをする。
マリンがどんどん顔に塗ったり、描いたりしてくれているのを私は蓋を開けて渡したり、閉めて端に寄せたりと、助手をする。
メイクが完了し、手をゆすいだら、冷めた髪を編んでいく。
あっという間に上の半分の髪を使い、頭の後ろに薔薇模様ができた。
マリンの技によって、私の仕度は20分で完璧に終わった。
「ありがとう、マリン。この短時間で、さすがだわ。」
髪にピンを差し込みながら満足そうに見ているマリンにお礼を言う。
「リリアンヌ様が起きていてくださったので、助かりました!
楽しんできてくださいね。
後でお話たっぷり聞かせてください。」
「ごめんなさい、お待たせ致して。」
客間のソファーでゆっくりくつろぐフォルティス様に、後ろの扉から入り、声をかける。
「いや、俺が楽しみ過ぎて早く来てしまったんだ。
急がせる気はないから、ゆっくり支度してくれて良かったのに。申し訳ない。」
立ち上がりながら答えて振り向いた彼は、たっぷり3秒ほど止まって、おもむろに動き出した。
「いえ、大丈夫ですわ。私も楽しみにしていたので。
いつもより少し早く起きてました。」
本当は大急ぎで支度をしたのだけどね。
マリンのおかげでこんなに涼しい顔をしているのよ。
「それは嬉しいな。じゃあ、行こうか。」
ぱぁっと表情が明るくなった様子は失礼にも、かわいいと思ってしまった。
喜んでくれるのが一番よね。
階段を降りるときも、馬車に乗るときも少し前を歩いて手を掴まらせてくれたり、段を用意してくれた。
優しさがスムーズに表れていてすごくかっこいい。
「今日はどこに行くのかしら。
そろそろ聞いてもいいですか?」
馬車に乗り、揺られて少しして聞いてみた。
本当は昨日の夜から気になってしょうがなかったのだが、ぐっとこらえた。
「そうだね。
今日は海の方に行こうと思うんだけど。どうだろう?
昼食も、海鮮メニューのあるところだ。」
私の表情から読み取ろうとしているみたいにじっと見て、意見をきいてくれる。
私はそんなに遠くまで連れて行ってもらえるとは思っていなかったので、予想をいい意味で裏切られて嬉しい。
「海!楽しみです!
ずっと前に行ったきりで、最近行く機会がなくて。」
正直、おしゃれな劇場とかよりも嬉しい!
やっぱり、女性の扱いが上手いのね。
「今日は天気もいいからな。我ながらいい日に誘ったよ。」
少し自慢気な感じを隠しながら窓を見ている。
そんな横顔だけでも絵のようだ。
「本当にそうですね。ありがとうございます!」
「あの、さ、そろそろ敬語をやめてくれないか?
俺だけ普通に話してるのもおかしいし。」
言いづらそうに切り出してくれる彼を、確かに怖いとは感じないし、、、。
最初より気軽に話せてるしそんなに恥ずかしいと思わない。
「そうね、確かに。
ありがとう、フォルティス。」
勇気を出して名前を呼んで、2人共、照れてしまう。
私の顔は赤い自覚があるけど、フォルティスも、耳から、首まで全部、見えているところ全てが赤い。
「あぁ、俺も今日は楽しみだよ。」
そう同調してくれる彼は絶対に悪い人じゃない。
いつものリリアンヌが起きる時間のだいぶ前。
階下ではマリンが驚きの声をあげ、バタバタと動き回っていた。
目が、覚めてしまったわ。
起床時間の一時間も前なのに。何しようかな。
フォルティス様が何時に来られるか分からないから、早めに起きようとは思ったけれど、、、
それにしても階下はこんなににぎやかなのね。
朝の早いうちからみんな支度をしてくれているのか。
布団から出てみるという勇気はない。
そうしたら、もう少し寝てしまおうかしら、、、
「失礼いたします、、、!!」
いつもの静かな様子とはかけ離れた、マリンの様子を見て、何かあったのかと思う。
「あら、おはよう。マリン。早いのね。」
「おはようございます。リリアンヌ様。
お嬢様こそとても早いですね。」
私が起きていたことに安心したように、こちらを見てから素早くカーテンを開けて、光を取り込んでいく。
今日は朝から天気がいい。
「寝れなかったわけではないし、少し前に目が覚めただけよ。」
「そうですか、それはちょうど良かったです。
フォルティス様がお着きになられまして。」
私がベットから這い出る間に手短に説明してくれる。
「え!?8時半よ?まだ!」
こんなに早いとは思わなかったわ!
びっくりして最後の一歩でベットから転げ落ちるかと思ったくらいだ。
「もちろんです。気にせず、ゆっくり支度をして欲しいと。
楽しみ過ぎて、早くいらしてしまったそうです。」
苦笑いで答えるマリンは、口は動かし続けても手は止まることがない。
「そう、でも待たせると悪いし、急ぐわ。」
そう言ってパタパタと洗面台に向かい、髪をくくる。
会いたくて、とは嬉しい。
そんなにまっすぐに好意を向けられるのはなんだかくすぐったい気もする。
なおさら急がなくては。
「かしこまりました。」
マリンはにっこり笑うと、メイクボックスから必要なものを出して並べ始める。
顔を拭いて肌の調子を整えてるクリームを塗っている間に、こてで髪にくせを付けていく。
一通りくせをつけたら、冷めるまでの間にメイクをする。
マリンがどんどん顔に塗ったり、描いたりしてくれているのを私は蓋を開けて渡したり、閉めて端に寄せたりと、助手をする。
メイクが完了し、手をゆすいだら、冷めた髪を編んでいく。
あっという間に上の半分の髪を使い、頭の後ろに薔薇模様ができた。
マリンの技によって、私の仕度は20分で完璧に終わった。
「ありがとう、マリン。この短時間で、さすがだわ。」
髪にピンを差し込みながら満足そうに見ているマリンにお礼を言う。
「リリアンヌ様が起きていてくださったので、助かりました!
楽しんできてくださいね。
後でお話たっぷり聞かせてください。」
「ごめんなさい、お待たせ致して。」
客間のソファーでゆっくりくつろぐフォルティス様に、後ろの扉から入り、声をかける。
「いや、俺が楽しみ過ぎて早く来てしまったんだ。
急がせる気はないから、ゆっくり支度してくれて良かったのに。申し訳ない。」
立ち上がりながら答えて振り向いた彼は、たっぷり3秒ほど止まって、おもむろに動き出した。
「いえ、大丈夫ですわ。私も楽しみにしていたので。
いつもより少し早く起きてました。」
本当は大急ぎで支度をしたのだけどね。
マリンのおかげでこんなに涼しい顔をしているのよ。
「それは嬉しいな。じゃあ、行こうか。」
ぱぁっと表情が明るくなった様子は失礼にも、かわいいと思ってしまった。
喜んでくれるのが一番よね。
階段を降りるときも、馬車に乗るときも少し前を歩いて手を掴まらせてくれたり、段を用意してくれた。
優しさがスムーズに表れていてすごくかっこいい。
「今日はどこに行くのかしら。
そろそろ聞いてもいいですか?」
馬車に乗り、揺られて少しして聞いてみた。
本当は昨日の夜から気になってしょうがなかったのだが、ぐっとこらえた。
「そうだね。
今日は海の方に行こうと思うんだけど。どうだろう?
昼食も、海鮮メニューのあるところだ。」
私の表情から読み取ろうとしているみたいにじっと見て、意見をきいてくれる。
私はそんなに遠くまで連れて行ってもらえるとは思っていなかったので、予想をいい意味で裏切られて嬉しい。
「海!楽しみです!
ずっと前に行ったきりで、最近行く機会がなくて。」
正直、おしゃれな劇場とかよりも嬉しい!
やっぱり、女性の扱いが上手いのね。
「今日は天気もいいからな。我ながらいい日に誘ったよ。」
少し自慢気な感じを隠しながら窓を見ている。
そんな横顔だけでも絵のようだ。
「本当にそうですね。ありがとうございます!」
「あの、さ、そろそろ敬語をやめてくれないか?
俺だけ普通に話してるのもおかしいし。」
言いづらそうに切り出してくれる彼を、確かに怖いとは感じないし、、、。
最初より気軽に話せてるしそんなに恥ずかしいと思わない。
「そうね、確かに。
ありがとう、フォルティス。」
勇気を出して名前を呼んで、2人共、照れてしまう。
私の顔は赤い自覚があるけど、フォルティスも、耳から、首まで全部、見えているところ全てが赤い。
「あぁ、俺も今日は楽しみだよ。」
そう同調してくれる彼は絶対に悪い人じゃない。