夢物語
***


 夏合宿も近付くある日、またしても大会に参加していた。


 団体戦、今日も同じチームで。


 あのハプニング以降初の大会で、組むことになったらどうしようと若干緊張したものの、お互い男子と女子のダブルスに分かれて組むことが続き、結局一度もペアは実現せず。


 何事もないまま終わったのだけど、チームの結果は全体で四位とイマイチ。


 中の上とはいえ、表彰は三位までであり圏外転落の四位とはまさに「天国と地獄」。


 オリンピックも、三位は銅メダルだけど四位は入賞とはいえ何ももらえない点では同じだ。


 表彰式には三位までしか出席義務はないため、帰宅準備に取り掛かっていた時のことだった。


 「高橋さん」


 振り向くと他のチームの、広田(ひろた)さんという女の人がいた。


 私よりちょっと年下なものの、同世代のため、年齢別の大会では何度か対戦することがあり、いつしか親しくなった間柄だった。


 「お疲れ様。今日はどうだった?」


 広田さんは私たちよりも1ランク下に出場していたため、試合会場が少し離れており結果が全く分からずまずは結果報告。


 お互いあと一歩な結果だったことを確認。


 「そうそう、うちのチームで噂になってるんですが、高橋さんのチームにイケメンが一人いますよね」


 「イケメン?」
< 115 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop