夢物語
 「……」


 今日の我々のチームの男子メンバーで、「イケメン」といえば。


 西本くん以外に考えられない。


 「……あの、ライムグリーンのユニフォーム来ている人だよね?」


 ちょうど体育館の奥で、チームメイトと談笑中のライムグリーンの西本くんの姿が見えた。


 「はい!」


 こういうケースは、さほど珍しいことではない。


 大会会場で見かけたり、たまたま出稽古で私たちのチームを訪れた女性陣で、西本くんを目に留める人はこれまでも何人かいた。


 ただ、今までは西本くんは既婚者って設定になっていたため、話はそこで終わることが多かったのだけど……。


 「今度練習に行ってもいいですか?」


 広田さんに尋ねられたけど、断る理由は何もない。


 西本くん目当てであることは明白だけど、広田さんの性格からしても、行動がエスカレートして問題になるとは考えにくいし。


 なるようにしかならない。


 周囲の環境も、私自身も。


 とりあえずはあのキス以降、どうも以前のようには接することができなくなってしまっているので、それを改善するのが先だと思った。
< 116 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop