夢物語
 「いや別に……。手に入れたいとか彼女になりたいとかそういう理由で、応援していたわけじゃないですから。どっちであろうと私は、中澤選手が頑張ってくれればそれだけで幸せですよ」


 話が逸れてきたので、私はそう言って話題を締めくくったつもりだった。


 手に入れたいとか、彼女になりたいとかそういう魂胆で応援しているわけではない。


 その台詞は遠回しで西本くんに対しても告げたつもりだった。


 本人は自分のことを言われているという自覚はないかもしれないけれど、私のスタンスを公言して防壁を完成させたつもりだった。


 好意を持つ、イコール男女の関係になりたいというわけではない。


 中澤に関しては、これまで通りただのファンという存在で構わないし、西本くんに対しても……。


 今のままサークル仲間、友達という関係が続いていくのなら、それだけでよかった。
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