夢物語
 ……。


 お風呂上り。


 一人、夜風に吹かれていた。


 女子部で集団で、少し歩いた先にある本館の温泉に出向いて入浴。


 戻って来て再びログハウスのリビングで酒宴。


 入れ替わりに男子部が入浴に向かったため、一時的に女子会と化していた。


 しばし歓談で盛り上がっていたけれど、お酒を飲むのもそろそろ限界に達したため、頃合いを見計らって外に出て夜風を浴びる。


 最初はログハウスのバルコニーから外を見おろしていた。


 すると眼下に広がる風景が幻想的で。


 つい外に足を踏み出していた。


 昼間は坂を下るとそこにはゴルフ場が広がり、その奥は森が続いている。


 いつしか月が空に浮かび、森の木々を照らす姿がとても荘厳。


 都会のネオンからは隔絶された世界は、ただ静寂に包まれ……。


 「見つけた」


 突然、静寂が破られる。


 「やっと二人きりになれた」


 静かな、一人きりの世界を壊すのは……。


 「……西本くん?」


 どうしてここに。
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