夢物語
 持ち前の社交性で、参加者全員と交互にコミュニケーション取っている間も。


 西本くんと広田さんの様子が気になって仕方ない。


 みんなで仲良くしてもらいたいと願う反面。


 意気投合どころか、それ以上の雰囲気になってしまったらどうしようと心配にもなる。


 西本くんには彼女がいて、広田さんとどうこうあるわけはないと思いつつも、突然何かが起こらないとも限らない。


 私とは一線を越える間際で留まっているものが、ちょっとしたきっかけで他の人とは超えてしまう可能性がある。


 その時私はどう接すればいいのか、戸惑うし混乱している。


 こんな、第三者が見たら合コンのような場を自ら計画しておいて、誰も彼もが自分の思い通りに動いてくれるかどうかなんて分からないのに……。


 「冴香さん、おかわりいいですか!?」


 他の参加者に呼ばれ、はっとする。


 ビールが空になっている。


 「もう一杯お願い」


 みんなで和気あいあいと過ごしたいと願ったり、嫉妬したり。


 若い頃のように気持ちが揺れ動いてどうしようもない。
< 129 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop