夢物語
 それから西本くんは、職場に行ってみて被害状況を確かめてくると話していた。


 事務所兼作業場のある地域も、震度は四か五。


 棚が崩れたり、書類が散乱してるんじゃないかって心配していた。


 その間に私は、広田さんをはじめとする友人関係に安否確認。


 全員と連絡が取れ、無事が確認できた。


 ただ広田さんの住む辺りは、やはり被害が大きかった。


 震度も六くらいあったらしい。


 食器類もかなり割れて散乱しているようだけど、当人にケガはなく一安心。


 まだ余震への不安もあり、メンタル面のケアが必要だ。


 友人たちとメール交信し安否確認している間に、ゆっくりと辺りは明るくなってきた。


 ようやく停電の暗闇から解放された。


 ラジオを聴いていた母にとると、ライフラインの停止を恐れる人々が、スーパーやコンビニに殺到し、食料や飲み物を買い占めているという報道があったのこと。


 そんな事態に至っていることをようやく悟り、車を出して最寄りのコンビニまで走ったけれど、すでに長蛇の列で店内は空っぽに近かった。


 停電でレジも動かない中、店員たちが必死で計算機でお金の計算をしていた。


 そして信号機も点灯していない。


 大きな道路の交差点では、警官たちが手信号でドライバーに指示を与えていた。


 まだまだ状況が分からない面が多いけれど、過去に体験したことがない程の大変な事態になっているようだ。
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