夢物語
秋
①
***
「……冴香さんって、いつもこんな早起きなの?」
時計は朝の六時。
鏡の前に座る私の背後から声がした。
「起きちゃった?」
「うん。目が覚めたら隣に誰もいないから……。一瞬びっくりした」
振り返ると西本くんが、眠たげな眼差しで上半身を起こしていた。
そういえば西本くんは、朝が苦手。
しっかりしているように見えて、大会の際などよく集合時間に遅刻騒動を起こし、見かけに反してしっかりしている賢人をいつも心配させている。
私も自宅では、平日でも七時過ぎにようやく起床し、出勤準備に取りかかる生活。
でも西本くんと二人きりの時は……。
「七時半にここ出ても間に合うよね? もうちょっとゆっくりしようよ」
隣に私が戻るよう促す。
「もう五時で、太陽が昇り始めてるし」
夏至の頃は日の出は三時台で、夜更かししていると東の空が明るくなってくることがよくあった。
九月を過ぎ、秋分の日への秒読みが始まったこの時期は、五時台に日の出を迎える。
薄暗かった空が、一気に明るくなっていく。
太陽の光に素顔をさらすのを避けて、二人きりの時は常に私の方が早く起きるようにしていた。
素顔で明るい光を浴びるのは、この年になると少し憚られて……。
「……冴香さんって、いつもこんな早起きなの?」
時計は朝の六時。
鏡の前に座る私の背後から声がした。
「起きちゃった?」
「うん。目が覚めたら隣に誰もいないから……。一瞬びっくりした」
振り返ると西本くんが、眠たげな眼差しで上半身を起こしていた。
そういえば西本くんは、朝が苦手。
しっかりしているように見えて、大会の際などよく集合時間に遅刻騒動を起こし、見かけに反してしっかりしている賢人をいつも心配させている。
私も自宅では、平日でも七時過ぎにようやく起床し、出勤準備に取りかかる生活。
でも西本くんと二人きりの時は……。
「七時半にここ出ても間に合うよね? もうちょっとゆっくりしようよ」
隣に私が戻るよう促す。
「もう五時で、太陽が昇り始めてるし」
夏至の頃は日の出は三時台で、夜更かししていると東の空が明るくなってくることがよくあった。
九月を過ぎ、秋分の日への秒読みが始まったこの時期は、五時台に日の出を迎える。
薄暗かった空が、一気に明るくなっていく。
太陽の光に素顔をさらすのを避けて、二人きりの時は常に私の方が早く起きるようにしていた。
素顔で明るい光を浴びるのは、この年になると少し憚られて……。