夢物語

 六月の終わりの日曜日。


 天候は、曇り空。


 晴れなくて残念ではあったけれど、雨が降らなくて何より。


 快晴でかんかん照りになったら、北海道とはいえこの時期30度近くになったりして、暑すぎたりもする。


 だから曇り空で適度に涼しくて、ある意味屋外焼き肉日和だったりする。


 サークルでは五月から九月末くらいまで、誰かの家の庭を用いる形で、月に一度のペースで焼き肉を開催していた。


 メンバーの平均年齢が三~四十代に差し掛かってきており、一軒家を所持する層が多数だったため、会場に困ることはない。


 この日は最近練習の常連メンバーたちが集まっての焼き肉。


 ご隠居さん状態の升田夫妻や谷さんはいない代わりに、私よりも後に加入した松元(まつもと)さんや長原(ながはら)さんといった若手主婦層が中心メンバー。


 ご主人が主張中の松元さんの一軒家に、お昼前に集合。


 庭にバーベキュー台を運び入れ、焼肉会場を設営。


 男性陣は賢人と、竹下(たけした)くんという賢人よりちょっと年長の公務員が参加していて、台の前で火おこしに励んでいる。


 家の主の松元さんの案内され、長原さんに小倉さん塩田さんはキッチンに移動し、参加メンバーが持ち寄った食材のカット。


 そして……。


 「じゃ、冴香ちゃんと西本くんは、買い出し担当でお願い」


 「了解!」


 仕事にあぶれた私と西本くんが、松元さんの家のすぐ裏にあるスーパーマーケットに、食材の買い出しに出向くこととなった。
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