夢物語
 「……」


 それでもよかった。


 そばにいられるのなら。


 二人きりの時間を分かち合えるのならば……。


 「じゃ、また。連絡するから」


 「遅くとも、明々後日には会えるね」


 明々後日は、次のサークル活動日。


 公然と会うことができる日。


 やがて車は去っていく。


 一人立ち尽くす私を、深まりつつある秋の風がそっと優しく包み込む。
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