夢物語
 彼女とのことなんて、聞きたくもない。


 でも心を押し殺して、話題が移り変わるのをじっと待つだけ。


 二人のことは誰にも話せない以上、周りの人にとっては、西本くんの大事な人とは彼女のことであり。


 私は何も知らないふりをして、話をきいているより他にない。


 ……周りの人にとって?


 自分で自分に問いかける。


 周囲がそう思っているだけではなくて、それは紛れもない真実なのでは。


 もしも私が一番大切な存在なのだとしたら、こんな苦痛を押し付けられるはずもない。


 生殺し状態?


 それは彼女だけではない、むしろ私にとってのこと……。
< 177 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop