夢物語
 「二人とも、お疲れ様」


 荷物を松元さんのキッチンまで運び込んだ。


 「スーパーから微笑み合いながら歩いてくる姿、まるで若夫婦みたいだったよ」


 小倉さんに冷やかされる。


 「またまたー。若くなんてないですし、私なんかじゃ西本くんがかわいそうですよ」


 塩田さんや長原さんなど、その場の主婦たち全員が笑っていて恥ずかしい。


 西本くんも笑顔で接しているけれど、たぶん営業スマイルみたいなものだろう。


 最近こうやって冷やかされることが何度かあり、迷惑してるんじゃ……。


 「さ、お腹すいたしさっさと準備始めましょう」


 冷やかしを断ち切るように、カットされた野菜などを庭の焼き肉場へと運び出した。
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