夢物語
 「所属チームとお名前を確認して、それから器具室かトイレで着替えをしてもらおうか」


 松元さんが参加予定者一覧名簿を手に、その女の人のほうへと向かった。


 大会参加などを通じて、他のチームの人との交流も比較的多い私ですら、全く面識のない人だった。


 「若い人だね。あんな格好で交流会に参加するってのも珍しい」


 長原さんの言う通り。


 スポーツイベントに参加するにしては、少々場違いな服装……。


 都心のデパートなどでショッピングに励んでいるような、ちょっと派手めの……。


 その人が気のせいか、私のほうへと向かって歩いてきているような。


 「あれ? 冴香ちゃん。知り合い?」


 気のせいなんかじゃなかった。


 まっすぐ、私のほうへと向かって歩いてきている。


 心なしか険しい顔つき、厳しいまなざしで。


 そして想定外の事態に見舞われた。


 「!?」


 若い女の人が、私に向って何かをぶつけてきたのだ。


 予想外だった私はよけられず、直撃を受けた。
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