夢物語
 何年もずっと一緒にいて、これからもずっとそばにいるはずだったのに。


 ここに来て突然、年上女によって私は追い落とされようとしている。


 あんな女の何がいいの?


 私より優れてるの?


 私と一緒にいるより、何かメリットでもあるの?


 全く理解できないし、納得いかない。


 (こんな指輪……!)


 あてのない未来に油断していた自分が突然腹立たしくなって、指輪を壁に投げつけそうになった。


 いや、指輪を投げつけるべき場所はここではない。


 高橋冴香に会って、直接……!


 私は感情にコントロールが利かなくなっていた。


 いつもは何か行動を起こす時、必ず姉に相談するのだけど、今はもう真夜中。


 さすがに迷惑だと思って、明日の朝まで待ってみることにして指輪は一旦箱に戻す。


 ようやく部屋が暖まってきた。


 クリスマス前、ちょうど今日は冬至。


 夜が一年で一番長い日だった。
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