夢物語
冴香の場合
***
「なんでうちのクラブはこう何度も恋愛トラブルが発生するのかって、升田さん言ってたけど」
夜、サークル仲間の長原さんから電話がかかってきた。
当然本題は、西本くんの彼女が乱入してきた事件。
挨拶の後、長原さんは言いにくそうに核心に触れ始める。
……イベント会場に朝一番に西本くんの彼女が乱入してきて、私に指輪を投げつけて立ち去った。
彼女が終始無言だったけれど、涙を浮かべた瞳で指輪を投げつけるという行為と、その指輪を拾って慌てふためいて彼女を追いかけて行った西本くんの様子を見て、居合わせた人たちは全てを察した模様。
(まさか、あの二人が……)
今まで仲良くしていたのはみんな知っているけれど、それ以上の関係だと疑っている人は皆無だったため辺りは言葉を失っていた。
彼女はとうに何もかも知っていて、怒りの乱入行為によりみんなに秘密がバレてしまった。
自分たちが蒔いた種とはいえ、居場所を失ってしまう結末を迎えてはじめて、私は事の重大さをじわじわ噛みしめていた。
かつての不倫騒動の時、嫌というほどつらい体験はしたはずだったのに。
もう二度とこんな思いはしたくないと、あの時誓ったはずなのに!
「なんでうちのクラブはこう何度も恋愛トラブルが発生するのかって、升田さん言ってたけど」
夜、サークル仲間の長原さんから電話がかかってきた。
当然本題は、西本くんの彼女が乱入してきた事件。
挨拶の後、長原さんは言いにくそうに核心に触れ始める。
……イベント会場に朝一番に西本くんの彼女が乱入してきて、私に指輪を投げつけて立ち去った。
彼女が終始無言だったけれど、涙を浮かべた瞳で指輪を投げつけるという行為と、その指輪を拾って慌てふためいて彼女を追いかけて行った西本くんの様子を見て、居合わせた人たちは全てを察した模様。
(まさか、あの二人が……)
今まで仲良くしていたのはみんな知っているけれど、それ以上の関係だと疑っている人は皆無だったため辺りは言葉を失っていた。
彼女はとうに何もかも知っていて、怒りの乱入行為によりみんなに秘密がバレてしまった。
自分たちが蒔いた種とはいえ、居場所を失ってしまう結末を迎えてはじめて、私は事の重大さをじわじわ噛みしめていた。
かつての不倫騒動の時、嫌というほどつらい体験はしたはずだったのに。
もう二度とこんな思いはしたくないと、あの時誓ったはずなのに!