夢物語
家族ぐるみで仲良くしていた西本さんの奥さんが亡くなったので、両親と私は近所の斎場でのお通夜に出向いた。
「西本さんの奥さん、まだ若いのに。まさかこんな急に……」
向かう途中の車の中で、助手席の母が運転席の父と話をしていた。
「乳癌で入院したとは聞いていたけど、亡くなるとは思ってもいなかったな……」
西本さんのご主人が父の学生時代の後輩で、亡くなった奥さんはまだ四十になっていなかった。
この当時祖父母も全員存命で、私はお葬式というものに参列した経験がなかったため、喪服も持っていなかった。
「高校生だったら、学校の制服でもよかったんだけどね」
喪服は背格好の似ている母のものを借りて、靴は地味な黒い革靴があったのでそれを履いた。
程なく斎場に到着。
会場は思ったより広く、西本さんの親戚関係と仕事関係者もかなりいるらしい。
「西本、この度は何と言っていいか……」
まだお坊さんが来ていなかったので、両親は西本さんにまず挨拶。
「忙しいところありがとうございます。真由ちゃんも来てくれてありがとう」
喪服姿の西本さんが深々と礼をした。
父の後輩なので父よりは少し若く、四十代前半。
でも年齢よりはずっと若く見え、二十歳の私には素敵なダンディなおじさまって感じだった。
過去に何度かバーベキューなどご一緒したことがある。
大学受験などもあったため、ここ数年は両親のみが出かけるケースが多かったけど。
「優、お前も挨拶しなさい」
「……」
後ろに立っていた西本さんの一人息子、優くんも頭を下げた。
いつの間にか中学生になっており、制服姿で母の葬儀に出席していた。
「西本さんの奥さん、まだ若いのに。まさかこんな急に……」
向かう途中の車の中で、助手席の母が運転席の父と話をしていた。
「乳癌で入院したとは聞いていたけど、亡くなるとは思ってもいなかったな……」
西本さんのご主人が父の学生時代の後輩で、亡くなった奥さんはまだ四十になっていなかった。
この当時祖父母も全員存命で、私はお葬式というものに参列した経験がなかったため、喪服も持っていなかった。
「高校生だったら、学校の制服でもよかったんだけどね」
喪服は背格好の似ている母のものを借りて、靴は地味な黒い革靴があったのでそれを履いた。
程なく斎場に到着。
会場は思ったより広く、西本さんの親戚関係と仕事関係者もかなりいるらしい。
「西本、この度は何と言っていいか……」
まだお坊さんが来ていなかったので、両親は西本さんにまず挨拶。
「忙しいところありがとうございます。真由ちゃんも来てくれてありがとう」
喪服姿の西本さんが深々と礼をした。
父の後輩なので父よりは少し若く、四十代前半。
でも年齢よりはずっと若く見え、二十歳の私には素敵なダンディなおじさまって感じだった。
過去に何度かバーベキューなどご一緒したことがある。
大学受験などもあったため、ここ数年は両親のみが出かけるケースが多かったけど。
「優、お前も挨拶しなさい」
「……」
後ろに立っていた西本さんの一人息子、優くんも頭を下げた。
いつの間にか中学生になっており、制服姿で母の葬儀に出席していた。