夢物語
 勉強の合間に優くんの好きなサッカーの話をよくしてくれたので、私もその影響でサッカーに興味を持つようになった。


 それまではテレビや新聞で結果をチラ見するだけだったけど、優くんの話を聞いているうちに、私もトリコロールカラーのチームのファンに。


 「札幌では試合やらないの?」


 「一年に一度、地方開催が巡って来るけど……。どこのチームがくるかは運次第だね」


 優くんは部活動では違うスポーツをやっているものの、観る方では圧倒的にサッカーが中心。


 テレビ放送されるJリーグの試合は必ず見ていて、サッカー雑誌も定期購入していた。


 「札幌にはチームできないのかな」


 「Jリーグ大人気だから、商工会議所が誘致しようと活動開始するらしいけど、わざわざ北海道に来てくれるチームなんてないかもね」


 「寒いし雪降るからね。野球チームすらないし」


 その当時は、北海道にプロ野球チームやJクラブが誕生するなんてまさに夢物語だった。
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