夢物語
 もしかしてあまり乗り気じゃないのかな?


 そう感じた。


 定められた運命というか進路と、自分のやりたいことが違うようだ。


 会社の経営者となるならば、大学は経済系か法学部系統のほうがたぶん有利なんだろうけど、優くんは外国語のほうに興味があるみたい。


 「大学はまだ先のことだから、まずは高校受験頑張って、大学はそれから考えようか」


 親の期待と異なる、子供の意向。


 進路の最終決定時は揉めるかもしれないけれど、優くんは初心を貫くことができるだろうか。


 その時西本さんはどう判断するのだろうか?


 いろいろ心配はある。


 「真由先生は、大学受験の時までずっと家庭教師してくれる?」


 「優くんに戦力外通告されなければね」


 そうは答えたものの、私も二年後には大学を卒業して社会人。


 社会人になってからは家庭教師活動を続けるのは難しいと思ったけど、その時になってから改めて考えようと思ってこの時は笑顔で頷いていた。
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