夢物語
 夏休み、二家族合同で近隣の町に出かけた。


 札幌から一時間程度の町にある、ゴルフ場傍らのログハウス。


 到着後荷物を運び入れ、バーベキューの準備をしたり、歩いて十分程度の温泉施設にまで出向いたり。


 日没前からバーベキューをビール片手に楽しんでいるうちに、日は暮れていく。


 企画や買い出しはほとんど父と西本さんが、調理関係は母がやってくれて、私と優くんはまさに上げ膳据え膳。


 「いいよ真由ちゃん。僕が持つから」


 「あ、何から何まですみません」


 せめてものお手伝いと、飲み物がたくさん詰められたアイスボックスを運んでいたら、西本さんが代わってくれた。


 私と優くんは、食べることに専念。


 「真由ちゃん、いつも家族イベント付き合わせちゃって悪いね。彼氏とか大丈夫なの」


 炭を追加し、火力を調整しながら西本さんが尋ねてきた。


 「えっ、そんなのいません」


 突然の西本さんの言葉に驚いて答えると、


 「父さんやめなよ。そういう質問って今、セクハラって言うんだよ」


 「あ、そうか。ごめんごめん」


 優くんの突っ込みに、西本さんは恐縮していた。


 自分のことはさておき、優くんこそ彼女とかいないのかな。


 今なら中二でも、早すぎるといったことはなさそうだし。
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