夢物語
②
***
「この十年で、かなりメンバーも変わったね」
ある晴れた晩春の午後。
このチームの部長である升田(ますだ)夫妻のご自宅に、主なメンバー共々招かれて庭で焼き肉。
最近は練習参加頻度もめっきり少なくなり、ご隠居さん状態の升田夫妻に久しぶりにお会いできた。
「もう俺たち夫妻は、引退だな」
五十代半ばを迎え、世代交代の波を感じている升田部長は弱気になっている。
「升田さんが引退なら、俺も一緒に引退だよ」
チーム最年長で、六十を過ぎたの谷さん(たにさん)も苦笑する。
「升田さんや谷さんにはレジェンド部として、まだまだ頑張ってもらわなくては。このチームつぶれちゃいますよ」
長身で姉御肌の小倉(おぐら)さんが、升田さんに答える。
「うちは升田さんや谷さんが、看板レジェンドなんですから」
スリムでかわいいけれど、実は毒舌家の塩田(しおた)さん。
「升田さんが引退したら、次期部長は年功序列的には小倉さんか塩田さんじゃないすか。お先真っ暗っすよ」
若手若手と言われている賢人(けんと)も、もう30代。
立派な中堅選手だ。
「あんたがしっかりしてこのチームを支えてくれなきゃ、私たちいつまでたっても引退できないんだからね!」
升田さんの奥さんが賢人に、笑いながら告げる。
「あんなことがあって、うちのチームも一時は活動停止も考えたんだけど、」
「……」
升田部長のその一言で、一同一瞬沈黙に包まれた。
「この十年で、かなりメンバーも変わったね」
ある晴れた晩春の午後。
このチームの部長である升田(ますだ)夫妻のご自宅に、主なメンバー共々招かれて庭で焼き肉。
最近は練習参加頻度もめっきり少なくなり、ご隠居さん状態の升田夫妻に久しぶりにお会いできた。
「もう俺たち夫妻は、引退だな」
五十代半ばを迎え、世代交代の波を感じている升田部長は弱気になっている。
「升田さんが引退なら、俺も一緒に引退だよ」
チーム最年長で、六十を過ぎたの谷さん(たにさん)も苦笑する。
「升田さんや谷さんにはレジェンド部として、まだまだ頑張ってもらわなくては。このチームつぶれちゃいますよ」
長身で姉御肌の小倉(おぐら)さんが、升田さんに答える。
「うちは升田さんや谷さんが、看板レジェンドなんですから」
スリムでかわいいけれど、実は毒舌家の塩田(しおた)さん。
「升田さんが引退したら、次期部長は年功序列的には小倉さんか塩田さんじゃないすか。お先真っ暗っすよ」
若手若手と言われている賢人(けんと)も、もう30代。
立派な中堅選手だ。
「あんたがしっかりしてこのチームを支えてくれなきゃ、私たちいつまでたっても引退できないんだからね!」
升田さんの奥さんが賢人に、笑いながら告げる。
「あんなことがあって、うちのチームも一時は活動停止も考えたんだけど、」
「……」
升田部長のその一言で、一同一瞬沈黙に包まれた。