夢物語
閉店時間の午前零時を迎える前に、店内放送で「蛍の光」が流れ始め、私たちはついに席を立った。
内心、とても名残惜しい。
もう二度と、こうして二人きりで食事に来ることなんてないかもしれない。
仲間たちの中にいる二人、という関係に戻ってしまう……。
「あ、私の話を聞いてもらったわけだから、私が」
「いいですよ。ここに来たのは僕が提案したからですから。それに……前も言ったじゃないですか。独身に戻って、使えるお金が増えたって」
そう告げて微笑みながら会計の際に。
千円札を西本くんが差し出し、残りの小銭を私が支払った。
「……今日は遅くまでごめんね。おかげで今後の見通しが立って助かった」
「次に賢人が問題行動起こしたら、今度こそレッドカード提示しますから。高橋さんは田中さんに連絡しておいてもらえますか」
「明日、メール返しておくね」
「田中さんも今は頭に血が上っているのかもしれませんが、時間が経てばきっと沈静化してきますよ。だから高橋さんもあまり気にしないで。何か進展があったら、僕にも話してください」
「ありがとう。進捗状況をまた連絡するから」
午前零時を迎える頃、それぞれ車で帰路についた。
西本くんの車が、環状通の三車線道路を勢いよく西へと走り去っていく。
内心、とても名残惜しい。
もう二度と、こうして二人きりで食事に来ることなんてないかもしれない。
仲間たちの中にいる二人、という関係に戻ってしまう……。
「あ、私の話を聞いてもらったわけだから、私が」
「いいですよ。ここに来たのは僕が提案したからですから。それに……前も言ったじゃないですか。独身に戻って、使えるお金が増えたって」
そう告げて微笑みながら会計の際に。
千円札を西本くんが差し出し、残りの小銭を私が支払った。
「……今日は遅くまでごめんね。おかげで今後の見通しが立って助かった」
「次に賢人が問題行動起こしたら、今度こそレッドカード提示しますから。高橋さんは田中さんに連絡しておいてもらえますか」
「明日、メール返しておくね」
「田中さんも今は頭に血が上っているのかもしれませんが、時間が経てばきっと沈静化してきますよ。だから高橋さんもあまり気にしないで。何か進展があったら、僕にも話してください」
「ありがとう。進捗状況をまた連絡するから」
午前零時を迎える頃、それぞれ車で帰路についた。
西本くんの車が、環状通の三車線道路を勢いよく西へと走り去っていく。