鬼畜な兄と従順な妹
でも、お兄ちゃんにしてみれば、確認しておきたい大事な事柄と思われ、私は固唾を飲んで父の返答を待った。
「当たり前じゃないか。啓介には悪いが、私はおまえの事をずっと本当の息子だと思って来たんだ。それはこれからも変わらないよ」
「ありがとう、父さん」
途端にお兄ちゃんは涙ぐみ、私の目からも涙が溢れてしまった。
のだけど、ちょっと待って。それはお兄ちゃんと私にとっては、とても都合が悪いのじゃないかしら。
という事で、私はお兄ちゃんのトレーナーの袖を指で摘まんで引っ張った。
「なんだよ?」
「ちょっと、向こうで話さない?」
私はお兄ちゃんにそっと耳打ちした。
「お、おお」
母や父や田原さんがキョトンとする中、私は3人にペコリとお辞儀をして、お兄ちゃんを3人から十分に離れた所まで引っ張って行った。
「どうしたんだよ、幸子?」
「あのね、さっき、お父さんはお兄ちゃんに言ったよね? お兄ちゃんの事、本当の息子だと思ってるって」
「ああ。そう言ってくれたよな?」
「まずくない?」
「何が?」
「だって、私はお父さんの娘でしょ? つまり、お父さんの中ではお兄ちゃんと私って、正に兄妹って事でしょ?」
「あ、確かに。それは非常にまずいかもしれない」
「どうしよう……」
やだ、また涙が出てきちゃった。
「当たり前じゃないか。啓介には悪いが、私はおまえの事をずっと本当の息子だと思って来たんだ。それはこれからも変わらないよ」
「ありがとう、父さん」
途端にお兄ちゃんは涙ぐみ、私の目からも涙が溢れてしまった。
のだけど、ちょっと待って。それはお兄ちゃんと私にとっては、とても都合が悪いのじゃないかしら。
という事で、私はお兄ちゃんのトレーナーの袖を指で摘まんで引っ張った。
「なんだよ?」
「ちょっと、向こうで話さない?」
私はお兄ちゃんにそっと耳打ちした。
「お、おお」
母や父や田原さんがキョトンとする中、私は3人にペコリとお辞儀をして、お兄ちゃんを3人から十分に離れた所まで引っ張って行った。
「どうしたんだよ、幸子?」
「あのね、さっき、お父さんはお兄ちゃんに言ったよね? お兄ちゃんの事、本当の息子だと思ってるって」
「ああ。そう言ってくれたよな?」
「まずくない?」
「何が?」
「だって、私はお父さんの娘でしょ? つまり、お父さんの中ではお兄ちゃんと私って、正に兄妹って事でしょ?」
「あ、確かに。それは非常にまずいかもしれない」
「どうしよう……」
やだ、また涙が出てきちゃった。