鬼畜な兄と従順な妹
兄の本性 ~幸子Side~
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 お兄ちゃんに手を引かれて螺旋階段を上がったら、廊下の両側にドアがずらっと並んでいた。まるでホテルみたい。何部屋あるんだろうと思い、数えだしたら、

「ここがおまえの部屋らしい」

 と言われた。えっと、階段を上がって左側の3つ目の部屋ね。憶えておかなくちゃ。ホテルと違って、部屋番号とかないし。

「ちなみに俺の部屋はそっち。勝手に入ったら、ぶっ殺すからな」

 手前の2つ目の部屋が、お兄ちゃんの部屋だって事はわかったけど、それよりも私は、驚き過ぎて言葉も出なかった。だって、お兄ちゃんの口調がガラッと変わってるんだもん。

 ”俺”とか”ぶっ殺す”とか、自分の耳がおかしくなったのかと思った。

 お兄ちゃんがドアを開けてくれて、中を見たら更に驚いちゃった。すごく広くて、今までの私の部屋は6畳だったけど、その2倍、ううん3倍はあると思う。

 大きな窓には素敵なレースのカーテンが掛けられていて、その窓際には大きなベッドがあり、手前にはたぶん4人掛けのソファがある。大きめなライティングデスクと素敵な一面鏡に大画面のテレビまである。全体に白を基調にしているから、部屋がとても明るい。

 これは……正に令嬢のお部屋だわ。テレビや映画でしか見た事ないけど。使わせてもらう私は令嬢じゃないけど。

「びっくりしたか?」

 びっくりなんてもんじゃないわ。私には、贅沢すぎる……

「返事をしろ!」
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