鬼畜な兄と従順な妹
母とダイニングへ行くと、テーブルにたくさんの料理が並べられていた。確か母は、”いつもより少し豪華な食事”と言ってたと思うけど、という事は、この家の人はいつもこんな豪華な食事をしてるのかな。贅沢過ぎると思うのだけど……
それはそうと、私はどこに座ればいいんだろう。正面に父が座っていて、隣が空いているけど、たぶん母はそこに座ると思う。父の右斜めには見知らぬ男性が座っているのだけど……
「幸子はここに座って? 僕の隣だよ」
そう言ってお兄ちゃんが椅子を引いてくれた。
「あ、はい」
私が座ったのは、見知らぬ男性のほぼ正面だった。顔中が黒い髭で覆われたような印象で、お若いのかそうでもないのか、見た目ではさっぱりわからない人だ。
母は紫のカクテルドレス、っていうのかなを着て、レースのショールを肩に掛け、しっかりお化粧していてとても綺麗だ。こんな母は、今まで見た事なかったと思う。やはり父に椅子を引かれ、恥ずかしそうに父の隣に座る母は、とても幸せそうだ。
「幸子。紺のワンピースが良く似合っているね。可愛いよ?」
お兄ちゃんがそう言ってくれて、
「ありがとうございます」
顔を熱くしながらお礼を言ったのだけど、すぐにお兄ちゃんは私の耳元に口を寄せ、
「ガキくせえ」
と言った。ムッとしてお兄ちゃんを見たら、
「おやおや、もう仲良くなったようだね?」
という、やさしげな男の人の声がした。その声の主は、私の向かいに座っている、誰かは知らない髭の男性だった。
それはそうと、私はどこに座ればいいんだろう。正面に父が座っていて、隣が空いているけど、たぶん母はそこに座ると思う。父の右斜めには見知らぬ男性が座っているのだけど……
「幸子はここに座って? 僕の隣だよ」
そう言ってお兄ちゃんが椅子を引いてくれた。
「あ、はい」
私が座ったのは、見知らぬ男性のほぼ正面だった。顔中が黒い髭で覆われたような印象で、お若いのかそうでもないのか、見た目ではさっぱりわからない人だ。
母は紫のカクテルドレス、っていうのかなを着て、レースのショールを肩に掛け、しっかりお化粧していてとても綺麗だ。こんな母は、今まで見た事なかったと思う。やはり父に椅子を引かれ、恥ずかしそうに父の隣に座る母は、とても幸せそうだ。
「幸子。紺のワンピースが良く似合っているね。可愛いよ?」
お兄ちゃんがそう言ってくれて、
「ありがとうございます」
顔を熱くしながらお礼を言ったのだけど、すぐにお兄ちゃんは私の耳元に口を寄せ、
「ガキくせえ」
と言った。ムッとしてお兄ちゃんを見たら、
「おやおや、もう仲良くなったようだね?」
という、やさしげな男の人の声がした。その声の主は、私の向かいに座っている、誰かは知らない髭の男性だった。