鬼畜な兄と従順な妹
「次は、その貧乏たらしい服装はやめろ」

 幸子は、黒白のチェック柄のシャツにブルージーンズという、男っぽくてつまらない服装をしていた。

「家政婦の三田さんに言っておくから、好きな服を好きなだけ買ってもらえ」

「はい」

「俺の”素”の部分は、絶対、人に話すな」

「はい」

 後は何にすっかなあ…… あ、それで行こう。さすがに抵抗するかもだが。

「俺に何をされても拒むな」

「……」

「返事は?」

「どんな事をするんですか?」

 やっぱり簡単に”はい”とは言わなかったな。どんな事、ねえ……

 俺はすくっと立ち上がり、幸子の前へ行くと、彼女の細い腕を持って立ち上がらせた。幸子は、俺より頭一つ分ぐらい小さかった。

 次に幸子の尖り気味の顎に指を掛け、上を向かせると、幸子が拒む隙を与えず、その小さな口を俺ので塞いだ。
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