鬼畜な兄と従順な妹
「え? 私なんかで、いいんですか?」
私は驚くと共に、プリンスの誉れ高い直哉君と、”愛人の娘”の私なんかが付き合っていいものかと思い、そう言ったのだけど、
「そうか、ありがとう」
誤解を招く言い方だったみたい。
「ち、違うんです。直哉君に私なんかでは釣り合わないというか、そういう意味で言ったんです」
「なんだあ、オッケーなのかと思ったよ。ダメかな?」
「直哉君ってすごくモテると思うんです。なのにわざわざ私なんかと……」
「確かに女子から告られる事は多い方だと思うけど、あまり女子に興味を惹かれる事はなかったんだ。君に出会うまでは。学園長から村山真一の妹を頼むと言われた時、妹もあんな冷たそうな顔だったら嫌だなと思ったんだ。ところが、実際は全然似てないし、超可愛くて、俺、たぶん一目惚れだったと思う」
「そんな……」
私は胸がキューっとなってしまった。それは直哉君から”超可愛い”とか、一目惚れしたと言われたからなのか、それとも、お兄ちゃんの名前を聞いた瞬間、お兄ちゃんを思い浮かべたからなのか、私には判断出来なかった。
たぶん、後者だと思うけど。
「返事は今じゃなくていいから。帰ろうか?」
黙り込んだ私に、直哉君はそう言ってくれた。
「あ、はい。すみません」
私は驚くと共に、プリンスの誉れ高い直哉君と、”愛人の娘”の私なんかが付き合っていいものかと思い、そう言ったのだけど、
「そうか、ありがとう」
誤解を招く言い方だったみたい。
「ち、違うんです。直哉君に私なんかでは釣り合わないというか、そういう意味で言ったんです」
「なんだあ、オッケーなのかと思ったよ。ダメかな?」
「直哉君ってすごくモテると思うんです。なのにわざわざ私なんかと……」
「確かに女子から告られる事は多い方だと思うけど、あまり女子に興味を惹かれる事はなかったんだ。君に出会うまでは。学園長から村山真一の妹を頼むと言われた時、妹もあんな冷たそうな顔だったら嫌だなと思ったんだ。ところが、実際は全然似てないし、超可愛くて、俺、たぶん一目惚れだったと思う」
「そんな……」
私は胸がキューっとなってしまった。それは直哉君から”超可愛い”とか、一目惚れしたと言われたからなのか、それとも、お兄ちゃんの名前を聞いた瞬間、お兄ちゃんを思い浮かべたからなのか、私には判断出来なかった。
たぶん、後者だと思うけど。
「返事は今じゃなくていいから。帰ろうか?」
黙り込んだ私に、直哉君はそう言ってくれた。
「あ、はい。すみません」