鬼畜な兄と従順な妹
 私はお風呂でいつもよりも入念に体を洗い、髪をドライヤーで乾かし、ブラッシングも丁寧に行い、気合いを入れて部屋を出た。

 上は薄いピンクのTシャツでブラは着けず、下は白のショートパンツでもちろん生脚。おおよそ人前に出るにしては、恥ずかし過ぎる格好だ。

 そして廊下に誰もいないのを確認し、お兄ちゃんの部屋のドアをコンコンとノックした。お兄ちゃんはまだ起きてるかな、と思いながら。時刻はもう、深夜と言ってもいい頃だから。

 もし起きていたら、この間のようにドアを開けてくれると思っていたのだけど……

「誰?」

 ドアは開かず、代わりにお兄ちゃんの声が聞こえた。声を聞いただけでドキドキする私って、相当な重症だと思う。

「幸子です」

 と私は応えたのだけど、お兄ちゃんの応答がない。どうしたのかなと思っていたら、

「何の用?」

 と返って来て、私は普通に、

「話したい事があるから、入れてほしいの」

 と言ったのだけど……

「もう遅いから、明日にしてくれよ」

 だって。そう来たか。でも、めげないもんね。私は咄嗟に名案が浮かび、それを口にした。

「私、裸なの。恥ずかしいから、早く開けてくれない?」
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