鬼畜な兄と従順な妹
「ん……」

 幸子は口を結んでもがいたが、俺は彼女の小さな頭を掴み、舌で口をこじ開けると、幸子の舌に俺の舌を絡めた。

 数秒後、幸子に胸を押され、仕方なく解放してやると、幸子は涙目で俺を睨んだ。

「酷い……」

「初めてだったのか?」

 と俺が聞くと、幸子は小さく頷いた。一瞬、可哀想だったかなと思ったが、最初の虐めとしては効果的だったわけで、俺は思わずニヤっとした。もちろん嬉しいとか、そういうのではなく。

「こういう事だ」

「嫌です」

 へえー、案外気が強いんだな。まあ、拒むのは当然だが。しかし、そう簡単に許すわけないだろ?

「おまえが拒むなら……代わりにあの女を犯す」

「え?」

「”あの女”じゃわからないか? おまえのおふくろだよ。俺のおやじをたぶらかした、あの尻軽女さ」

「そ、そんな事をしたら、犯罪者になります」

「構わない。俺がどんなにあの女を憎んでるか、おまえにはわからないのか!」

 幸子は呆然と俺を見ながら、大きな目から大粒の涙をこぼし始めた。そして俯くと、小さな声で、

「わかりました」

 と言った、と思う。たぶん。

 俺は乱暴にドアを開け、自分の部屋へ行ってベッドに倒れ込んだ。高ぶった心を、鎮めるために。
< 8 / 109 >

この作品をシェア

pagetop