鬼畜な兄と従順な妹
「やめろー! 早まるな!」
遠くで男の人の叫び声がし、私達は重心を戻し、声がした方を向いた。すると、髭が特徴的で遠目でもすぐわかる田原さんが、こっちに向かって走って来ていた。
「君達は兄妹じゃないんだ。だから結ばれてもいいんだ。結婚だって出来るんだよ。だから、早まってはだめだ!」
と田原さんは、走りながら大きな声で叫んだ。
「お、お兄ちゃん、今の聞いた? 私達が兄妹じゃないって聞こえたんだけど、気のせいじゃないよね?」
「俺もはっきりそう聞こえたよ。本当だったら、超嬉しいな!」
「うん!」
私は有頂天になり、お兄ちゃんに体を預けるようにして抱き着いた。でも、それがいけなかったようで……
「うわっ」
お兄ちゃんは体のバランスを崩し、それでも私の体を突き放してくれて、尚更バランスを崩したお兄ちゃんは、激しい水音と共に、湖へ落ちてしまった。
「イヤーッ」
私はすぐにお兄ちゃんを助けるべく、湖に飛び込もうとしたのだけど、
「君は動くな。俺に任せろ!」
と田原さんに言われ、肩をグイっと引かれた。田原さんは素早く靴を脱ぐと、躊躇なく頭から湖へ飛び込んで行った。
ああ、お兄ちゃん。死んじゃイヤーッ!
遠くで男の人の叫び声がし、私達は重心を戻し、声がした方を向いた。すると、髭が特徴的で遠目でもすぐわかる田原さんが、こっちに向かって走って来ていた。
「君達は兄妹じゃないんだ。だから結ばれてもいいんだ。結婚だって出来るんだよ。だから、早まってはだめだ!」
と田原さんは、走りながら大きな声で叫んだ。
「お、お兄ちゃん、今の聞いた? 私達が兄妹じゃないって聞こえたんだけど、気のせいじゃないよね?」
「俺もはっきりそう聞こえたよ。本当だったら、超嬉しいな!」
「うん!」
私は有頂天になり、お兄ちゃんに体を預けるようにして抱き着いた。でも、それがいけなかったようで……
「うわっ」
お兄ちゃんは体のバランスを崩し、それでも私の体を突き放してくれて、尚更バランスを崩したお兄ちゃんは、激しい水音と共に、湖へ落ちてしまった。
「イヤーッ」
私はすぐにお兄ちゃんを助けるべく、湖に飛び込もうとしたのだけど、
「君は動くな。俺に任せろ!」
と田原さんに言われ、肩をグイっと引かれた。田原さんは素早く靴を脱ぐと、躊躇なく頭から湖へ飛び込んで行った。
ああ、お兄ちゃん。死んじゃイヤーッ!