異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
御姉様のアナウンスに、観客は次々と席を離れていく。
審査員も本部へ引き上げていき、フレディもいなくなった。
さて、提督さんと少尉さんのところに行こうかなー、と席を立つ私を、何かがぐっと引き留めた。
…………お、大原さん?
「お待ちになって。少しお話よろしいかしら?」
うっ、何でしょうか……殴ったりしませんよねぇ……。
怯える私に大原さんは言った。
「はっきりいって、あなたの演奏……」
「は、はい……」
「………素晴らしかった!ショパンのエチュードね。練習曲ながら最高難度の曲をあんなに軽々と……きっと、血の滲むような努力をなさったのね、頭が下がるわ」
血の……滲むような………?
誉めてもらっている、その事実は嬉しいけど、なんかこう、素直に喜べないというか……。
目を泳がせた私の横で、大原さんは頬を紅潮させている。
「でも、勝負は勝負。私も最高の演奏をしたと思うもの。負ける気はなくてよ」
「……はい!私も!」
大原さんは、この時、私に初めて意地悪じゃない笑顔をしてみせた。
その笑顔はとても美しくて、こんな関係じゃなかったら友達になりたいって思えるほどの素敵なものだった。
審査員も本部へ引き上げていき、フレディもいなくなった。
さて、提督さんと少尉さんのところに行こうかなー、と席を立つ私を、何かがぐっと引き留めた。
…………お、大原さん?
「お待ちになって。少しお話よろしいかしら?」
うっ、何でしょうか……殴ったりしませんよねぇ……。
怯える私に大原さんは言った。
「はっきりいって、あなたの演奏……」
「は、はい……」
「………素晴らしかった!ショパンのエチュードね。練習曲ながら最高難度の曲をあんなに軽々と……きっと、血の滲むような努力をなさったのね、頭が下がるわ」
血の……滲むような………?
誉めてもらっている、その事実は嬉しいけど、なんかこう、素直に喜べないというか……。
目を泳がせた私の横で、大原さんは頬を紅潮させている。
「でも、勝負は勝負。私も最高の演奏をしたと思うもの。負ける気はなくてよ」
「……はい!私も!」
大原さんは、この時、私に初めて意地悪じゃない笑顔をしてみせた。
その笑顔はとても美しくて、こんな関係じゃなかったら友達になりたいって思えるほどの素敵なものだった。