異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「では、両者いいな?三番勝負は執り行うぞ!」

と言った強引な御姉様は更に小声でこう続けた。

「ただし……まぁその辺はお前らで上手く盛り上げてくれ。茶番でも皆が楽しめればいいさ」

なるほど。
もうこれは、『勝負』ではなく『興行』ということで処理しようと。
私と大原さんは目を見合わせた。
そういうことなら、頑張るしかない。
折角の皆さんの娯楽を盛り上げないわけには行かないよね?
目で合図を送ると、大原さんも頷いた。

私は大原さんから距離を取り、手を差し出した。
そう、さっきの続きから始めるのだ。
大原さんはそれを見て、おもいっきりパァンとはね除ける!!
マジ痛い、けど我慢だ、ぐぬぬ。

「馴れ合いはしなくてよっ!!私、気が変わりましたわ!ここできっちりハッキリ決着をつけましょう!」

「そ、そっそうですね!ま、負けませんよぉー?」

下手くそか?私。
ハリウッド女優大原を見習え!
ところが、こんな三文芝居も観客の皆様には非常に受けが良かった。
普段これといって娯楽がなかった皆さんには、芝居の出来など関係ないらしい。

「おっ!いいぞ!」

「やれやれ!!」

「次の剣道も楽しみにしてるぞー!」

とまぁ、反応は上々だ。
だけど、上々じゃない人が一人……。
提督さん、まずはその軍刀に掛けた手を離そうか………。
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