異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
陸がないっていうのはコブダイさんに聞いて知ってる。
人類が船の上で暮らしてるってことも。
だけど改めて聞くとやっぱり……ここは終わりつつある世界なんだと思い知らされてしまう。
なぜ世界はこんなになってしまったんだろう。
何があってこんなことに?
それを尋ねようとした時、勢い良くノックの音がした。
すると、提督さんはとてもイラついた様子で、外に向かって大声で叫んだ。
「なんだ?!誰も呼んでいないが!!」
いや、そんなに怒鳴らなくても……。
カルシウムが足りないんですかね?
ドンドンドンドン!
と、提督さんの怒号に怯むことなく、ドアの外の人は執拗にノックを続ける。
更にイライラした様子の提督さんは、立ってドアまで行き乱暴に開いた。
「おっと、やっと開いた。冬島さんから、お嬢さんが目覚めたと聞いてね。診察に来たよ」
外にいた男は、スッと体を部屋に滑り込ませてベッドまでスタスタとやって来た。
「おいっ!許可を取れ!彼女は一応オレの婚約者だぞ!」
提督さんの声を聞いているのかいないのか、白衣を着た医者らしき男はベッドに座り込んで、大きなカバンから聴診器を取り出した。
彼は栗毛の人当たりの良さそうな優男で、その目は薄いブラウンだ。
日本人ではない。
一目見てそう思った。
「鷹人の許可なんていらない。私は医者だからね。例え君の細君であってもだよ」
「……………」
あら、黙ってしまわれた……。
いつの世も、医者の立場って強いんだね。
医者は私と向き合い、にこやかに笑って言った。
「おはよう、すずなお嬢さん。気分はどうですか??」
「ええと、まぁまぁです……けど……」
どうしよう。
医者相手にどれ程ごまかしがきくか。
「記憶が曖昧なようだ……オレのことも、この船のこともわからなかった」
と、提督さんが言ってくれて、私は説明の手間を省くことができた。
「ふーん、死に瀕するとまぁあることかもしれないね。一時的なものならいいんだけど……」
「思い出せない可能性もあると?」
可能性っていうか、絶対思い出せないけどね!
だって、知らないんだもん。
「……あるかもね。じゃあ、診察始めようか。鷹人は出ていって」
「は!?」
「は!?じゃないよ。君は彼女の親じゃない。さぁ早く」
戦艦島の提督様にこの態度。
この医者、最強かも。
提督さんは恐ろしい顔で医者を睨み、そのうち無駄だと判断したのか渋々部屋を後にした。
医者はそれを見届けると、ぐぐっと私の側に近寄り、そして言った。
人類が船の上で暮らしてるってことも。
だけど改めて聞くとやっぱり……ここは終わりつつある世界なんだと思い知らされてしまう。
なぜ世界はこんなになってしまったんだろう。
何があってこんなことに?
それを尋ねようとした時、勢い良くノックの音がした。
すると、提督さんはとてもイラついた様子で、外に向かって大声で叫んだ。
「なんだ?!誰も呼んでいないが!!」
いや、そんなに怒鳴らなくても……。
カルシウムが足りないんですかね?
ドンドンドンドン!
と、提督さんの怒号に怯むことなく、ドアの外の人は執拗にノックを続ける。
更にイライラした様子の提督さんは、立ってドアまで行き乱暴に開いた。
「おっと、やっと開いた。冬島さんから、お嬢さんが目覚めたと聞いてね。診察に来たよ」
外にいた男は、スッと体を部屋に滑り込ませてベッドまでスタスタとやって来た。
「おいっ!許可を取れ!彼女は一応オレの婚約者だぞ!」
提督さんの声を聞いているのかいないのか、白衣を着た医者らしき男はベッドに座り込んで、大きなカバンから聴診器を取り出した。
彼は栗毛の人当たりの良さそうな優男で、その目は薄いブラウンだ。
日本人ではない。
一目見てそう思った。
「鷹人の許可なんていらない。私は医者だからね。例え君の細君であってもだよ」
「……………」
あら、黙ってしまわれた……。
いつの世も、医者の立場って強いんだね。
医者は私と向き合い、にこやかに笑って言った。
「おはよう、すずなお嬢さん。気分はどうですか??」
「ええと、まぁまぁです……けど……」
どうしよう。
医者相手にどれ程ごまかしがきくか。
「記憶が曖昧なようだ……オレのことも、この船のこともわからなかった」
と、提督さんが言ってくれて、私は説明の手間を省くことができた。
「ふーん、死に瀕するとまぁあることかもしれないね。一時的なものならいいんだけど……」
「思い出せない可能性もあると?」
可能性っていうか、絶対思い出せないけどね!
だって、知らないんだもん。
「……あるかもね。じゃあ、診察始めようか。鷹人は出ていって」
「は!?」
「は!?じゃないよ。君は彼女の親じゃない。さぁ早く」
戦艦島の提督様にこの態度。
この医者、最強かも。
提督さんは恐ろしい顔で医者を睨み、そのうち無駄だと判断したのか渋々部屋を後にした。
医者はそれを見届けると、ぐぐっと私の側に近寄り、そして言った。