異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「まずいんじゃないですか??」

私は微笑むフレディに問いかけた。

「本物を早く探さないと、死んじゃいますよ?水、凄く冷たいので!」

「だよね。でもしょうがないよ。ここから出ていくっていうのはそういうことなんだよ」

しょうがないってアンタ!
フレディはもの凄くいい笑顔だ……。
いや、医者がそれじゃダメでしょう!?

「一応捜索はしているよ。相手の男が見つかってないしね」

「優しいですね、恋敵も探してあげるんですか?そこは放って置きません?」

「でしょ??あいつ、顔は怖いけど正義の人なんだよなぁ。曲がったことが出来ないんだよ」

フレディって提督さんのこと好きなのかな?
彼のことを話すときの目が優しいもん。
……ん??……まさか、そっちの人?
いや、そうかも!それならさっきからの言動も納得い……

「違うから」

「え?」

「私も鷹人もノーマルですよ」

あっ!ばれてるーー!
考え読まれてんじゃん!!
そして、ちょっと怒ってるよフレディ。

「とにかくですね。セリはこのままあの女のふりをして下さい」

「え?もうバレたんだし、いいじゃないですか!桜庭セリだってフレディが言ってくれたら済むことでしょ?それに本物が現れたらどうするんですか??嫌ですよ、修羅場は!」

「君、ヘタクソな芝居で鷹人を騙して、あの女のふりをしようとしたのに?」

何で知ってるの!?聞いてたの!?
フレディはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべた。

「修羅場には……ならないと思いますよ?私の推測では、あの女が帰ってくる確率はゼロに近い。ということでお願いします。君の為にもその方がいいと思うのですが」

「何でです?」

「例え私が別人だと主張した所で、他の人間が納得するかはわからない。言ったでしょ?あの女が嫌われてるって。これ幸いと錯乱状態だってことにされて船倉に監禁されるかもしれませんよ?」

監禁…………それはやだ!

「あとね、あの女のお相手が艦内にはたくさんいます。その男どもにまとわりつかれたいですか?」

「真っ平ごめんです!」

当然即答。

「まぁそんなわけで鷹人の婚約者でいた方がいいんだよ。どうせどこにも行くとこないんでしょ?」

ど、どうしてそれを……?
でも、その通りです、返す言葉もない……。
なんか上手く丸めこまれたような気がするけどね。
それに……まだ問題はある。
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