異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「は………え?」

驚く私に、フレディは頷いた。
そのことが意味するものは、ドアホな私でもわかる。

「わかったね、今の君の状況も同じ。オーマの例とセ……サクラバさんの例。これは、世界が起こしたなんらかのイレギュラーだと思う」

「イレギュラー……」

「恐らくはこちら側と、あちら側、同じ様に願う思いが重なって……時空というのかな、それが開いて違う世界に存在する者同士が入れ変わった。君も、何かを願ったのかな? 」

フレディはやさしく私を見た。
それを言っても言わなくてもいいよ、というような笑顔で。

「私は……島から……自分が閉じ込められるように生きてきた島から、出たかった。何かを自分で選んだり、自由に歩いたり、誰かとどこかに行ったり、誰かを………好きになったり……したかった」

側で聞いていた提督さんの手が少し震えた。
何を思ったのか……何を考えているのか。
それは全然わからなかったけど、伝わる手の温もりが、私の言葉を肯定してくれているようだった。

「ふふ、オーマもそう言ってた……あの女、すずなお嬢様もそうだったのかもしれないね……何をどうしたかったのかはわからないけど、現状から逃げたかったのは間違いないよ」

そうだ。
私と同じ思いなら、すずなお嬢様もきっとここから逃げたかったんだ。
理由はもうわからないけど、入れ替わったのなら、向こうの世界で幸せになっているといいな。

「というわけだ」

提督さんは改めて私を見る。
『というわけだ』の意味。
それはもちろん、さっきの告白の答えを待っているのだ!
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