異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者！？

この世界について

それから私は提督さんにお願いして、この世界の資料（歴史書、教科書など）を貸してもらい、ベッドの中でお勉強に励んだ。
こういうとき、記憶喪失（嘘）というのはとても便利。
怪しまれることなく、この世界の知識が得られるもんね。
さてさて、早速お勉強しよう！
私は目の前の資料に目を落とした。
最初見た歴史書は専門的な知識が多すぎて良くわからなかったので、中学生が使う歴史の教科書から読むことにした。

ええと、前半は習った歴史と同じ。
聖徳太子もいたし、頼朝は鎌倉幕府開いてるし、織田信長も本能寺の変で死んでる。
ちょこちょこ小さな事柄が違っている気もするけど、歴史の授業はあんまり聞いてなかったから良くわからない。
えーと、それから？
徳川幕府がなくなって、明治政府が出来た。
軍部が力を持ってきた日本は富国強兵、軍備増強とかで少し物騒になっていき………あれ……何これ？
私が目を止めたのは、太平洋戦争辺りの項目だ。
そこには第二次世界大戦が始まり、太平洋戦争がありそして終戦となるはずの事柄が、私の知っている歴史とは全く違うものが書かれていた。
歴史に詳しくない私にも、さすがにこれはおかしいとわかる。
だって、日本は第二次世界大戦で勝っているのだ。
厳密には伊、独、大日本帝国の枢軸国が連合国に勝利し……と書いてある。
……………………。
そんなバカな。
それではここは、いわゆるパラレルワールドということ？？
それで、続きは！？ええと……。
枢軸国はその勢いのまま、全世界に勢力を拡大し各地を侵略。
連合側の残党を支持する第三勢力も現れ、混沌とした時代が暫く続いていく。
そして………。
両陣営によって行われた兵器の実験と度重なる戦争により、世界の３分の１の陸地が失われることとなる。
これを問題視した各国はいずれ陸地に住めなくなった時の為に大きな船を建造することを決めた。
『ノアの方舟』
それにちなんで建造された船は、北欧、イタリア、ドイツに一隻、連合アメリカにイギリスに一隻、中国、ロシアに一隻、そして、日本に一隻。
計８隻の方舟が出来上がった。
収容人数最大五千人。
世界最高の技術を集めた神の方舟。
人類は選別されそれぞれ船にのり航海に乗り出した。
それから暫くして、大型の気候変動が起こり陸地は全て海に沈んでしまった。
それで、現在に至る、か。
…………………。