異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
下らない論争がちょうど終結したところで、食堂の人が、部屋に食事を運んで来てくれた。
そして、軽くシャワーを浴びるという提督さんを待って、私たちは朝食の席についた。

「昨日の話なんですけどね、私、仕事をしたいんですが、何かありませんか?」

「……………」

パンを口に放り込みながら、提督さんは暫く黙っていた。
その表情と態度から、私が仕事をするのにあまり賛成ではないことがわかる。
しかし、何もしないのは気が引けるし何よりとても暇だ!!
暇は人を駄目にする!
と思う。

「提督さん?提督さーーん?」

「…………………」

黙っているなら聞くまで言ってやる。

「てーいとーくさーーん!?」

「………わかったわかった……はぁ、もう嫌だな」

「何がですか!?私が仕事をするのがですか?」

「……君が仕事をして他の男と楽しく喋るのがだ!!」

なんじゃそれ。
そんなことで、働く機会を邪魔されたくないわ!
提督さんみたいな考えの人が、女性の社会進出を阻むんだよ!

「提督さん、心が狭い。器がちっちゃい。男らしくな………」

あ、やば。
どんどん項垂れていく。
勢いにまかせて言い過ぎたかな。
提督さんの頭は今、スープに浸かりそうな位置まで下がってしまっている。

「えーと、ごめんなさい。言い過ぎました。あの、それなら女性だけの職場とかは……ないですか?」

提督さんの頭が、凄い勢いで上がった。
ブォンという擬音付きで!!

「なるほど!その手があったか!!」

復活おめでとうございます。
そして、なんの悪巧みでしょうか?
いたずらを思い付いた子供と同じ顔をしてますけど。
< 48 / 188 >

この作品をシェア

pagetop